プロテインの副作用に関するお話しを以前こちらの記事でしましたが、今日はクレアチンの副作用について説明します。
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筋トレをする人にとってはプロテインに次いで大事なサプリメントと言われるクレアチン。
クレアチンについては様々な研究が行われており、豊富なデータがあります。
最新エビデンスや私が実際に飲んで感じたことを織り交ぜながら、クレアチンの副作用を考えていきたいと思います。
クレアチンとは何かをおさらい
我々が運動する際には必ずATP(アデノシン三リン酸)からエネルギーを得ていますが、筋肉にはATPはほんの少ししかないことから、数秒の動作で枯渇します。
そこでATPの再合成を行いますが、筋トレのような高強度トレーニングでは、クレアチンリン酸系(クレアチンリン酸がクレアチンとリン酸に分解する反応)でATPを再合成します。
クレアチンは、このクレアチンリン酸を作る成分なので、体内のクレアチン量を増やすことが筋トレの質を上げることに繋がります。
体重70kgの人の体内クレアチン量は120g程度と言われています。
一般的な食事ではクレアチンは1~2g程度しか摂取できないのに対して、毎日1~2gも代謝され尿から排出されるため、普通の食事だけで体内に貯蔵してあるクレアチン量を増やすことは難しいです。
そこでクレアチンをサプリメントとして摂取し、一日のクレアチン摂取量を増やすことで、体内に貯蔵されているクレアチン量を最大160g程度まで増やすことができます。
クレアチンの貯蔵量が増えるとATPの再合成がより多く可能になり、結果として高強度トレーニングを長時間実施できます。
クレアチンによる健康への影響はない
クレアチンに関して国際スポーツ栄養学会が2017年にレビューを報告しているので、この論文を元にクレアチンの安全性について説明します。
クレアチンは最も良く研究されているサプリメントの一つで、1990年台から1000以上の研究が行われています。
その中で唯一一貫して報告されている副作用は体重増加だけです。
幼児から高齢者まで5年間毎日「体重×0.3~0.8g」のクレアチンを摂取した研究でも、健康を害することはなかったと報告されています。
よく言われている腎機能障害についても、クレアチンが腎機能に障害をもたらすことを裏付けている文献はないと健康への影響を否定しています。
腎疾患を持つラットに対して2g/kg/日(体重70kgの人が毎日140g摂取するのと同等量)のクレアチンを摂取させたところ、病気が進行したことで、クレアチンは腎機能を悪くする可能性があると言われてきました。その後追加で0、0.5、1、2 g/kg/日のクレアチンをラットに与える試験が行われたが、全てのラットで腎臓および肝臓の機能低下は見られなかったとあります。
これはほんの一例で、他にも多くの研究で、クレアチン摂取が健康な人の腎機能に悪影響を及ばさないと報告しています。
これらの研究結果から今では「クレアチンは非常に安全性の高いサプリメント」と結論付けられています。
結論
クレアチン摂取で気をつけておきたいこと
体重が増える
健康には全く問題ないので副作用とは言いにくいですが、クレアチンを摂取すると体重が増加します。
これはクレアチンが水と結合しやすいために、体内の水分量が増えることに起因すると言われています。
実際私がクレアチンを摂取した際も、水分量で約1kgほど体重が増加しました。
ただ水で体重が増えただけなので、見た目もさほど変わりませんし、健康への影響も全くないです。
コンテスト等でどうしても体重を減らしたい場合は、あらかじめクレアチン抜きをすると良いかもしれませんね。
痙攣する
クレアチンを使用した人に多く出る症状の一つに「痙攣」があります。
これは科学的根拠はないと言われており、さまざまな研究でもクレアチンが痙攣を引き起こすとされるデータはありません。
体重増加でも説明した通り、クレアチンは水と結合する作用があるので、通常よりも多くの水を摂取しなければいけません。これを怠ったことによる脱水症状の一つとして痙攣が起きているのではないかと考えられます。
クレアチンを飲む際は十分な水を摂取するように心がけて下さい。
目安として、クレアチンを5g飲むときにコップ二杯の水を飲んでください。
健康診断で引っかかる
クレアチニンは、体内でクレアチンとクレアチンリン酸から作られる代謝産物です。クレアチニンは腎臓から完全に排出されます。
クレアチニン値が高いと腎臓機能不全の可能性があることから、健康診断で測定される項目の一つになっています。
クレアチンをサプリメントから摂取して、体内のクレアチン貯蔵量が増えることで、血中クレアチニン値が増加することがあります。
これを防ぐには、健康診断の2週間前からクレアチンの摂取をやめる必要があります。
もし健康診断でクレアチニン値が高く出た場合は医師にクレアチンを日常的に摂取していると説明し、その上で問題の有無を診てもらうのが良いでしょう。
長期間クレアチンを摂取しなかった場合は、体内貯蔵量が減ってしまっているので、再度クレアチンローディングを行う必要があります。
クレアチンの正しい摂取方法
クレアチンを初めて摂取する際は、クレアチンを体内に貯蔵するためにローディングを行わなければいけません。
ローディング期
摂取開始から三日間はクレアチンの体内貯蔵量を増やすために、ローディング期間を設けます。
1日に4回、1回あたり5gのクレアチンを水に混ぜて飲みます。
(5gにつきコップ一杯の水分を摂るように心がけて下さい)
メンテナンス期
ローディング後は体内クレアチン量を維持するメンテナンス期に入ります。
1日に1~2回、1回あたり5gのクレアチンを水に混ぜて摂取します。
(5gにつきコップ一杯の水分を摂るように心がけて下さい)
摂取する際には、適切なクレアチン量を守り、十分な水分を摂るようにしましょう。
最後に
筋力アップ・筋肥大に効果的なサプリメントであるクレアチンの副作用について最新のエビデンスを紹介しました。
1000を超える研究の末に出した現代スポーツ栄養学の結論は「健康への影響はない」でした。
唯一起こりうる症状は体内水分量の増加に伴う体重増加だけです。
ただクレアチンは水分を多く取り込む性質を持つため、いつも以上に水分を摂取するように心がけて下さい。
それではまた!
クレアチンを実際に摂取してみた結果はこちらの記事で。
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