バナナといえばスポーツ中のエネルギー源として愛用されることが多いです。
その影響もあってか筋トレ前後にバナナを食べることで「パワーが出る」「筋肉が大きくなる」と思っている人が多いように感じます。
しかし残念なことに筋トレにバナナは意味のない食べ物です。
この記事ではなぜバナナが筋トレに効果的でないのかを説明していきます。
この記事を読むと分かること
- バナナの糖質
- 果糖が筋トレにいらない理由
- 筋トレ前後に摂取したい糖質
目次
バナナが筋トレに良いと勘違いされる理由
バナナが筋トレに効果的だと言われるのは「糖質が豊富に含まれている」ことと「糖の吸収がお米に比べて速い」ことからきています。
次に示す栄養成分をみても、糖質がたっぷり入っていることが分かります。
バナナの栄養成分
- カロリー:80 kcal
- タンパク質:1 g
- 脂質:0.2 g
- 炭水化物:20.3 g
筋トレでは糖質をエネルギーに変えるため、運動前後に糖質を補給することが大切です。
運動前後に糖質を摂取することは正しいのですが、この時の糖質源としてバナナは有効ではないのです。
理由はあとで詳しく説明します。
筋トレの糖質源として適していないバナナですが、バナナ自体には他の食べ物にはない栄養素が含まれているので、健康維持には効果的です。
バナナの健康効果
- カリウムが豊富:ナトリウムの排出、水分調整
- ポリフェノールが豊富:抗酸化作用
- ビタミンB群が豊富:代謝促進、肌の健康維持
バナナが筋トレに効果がない理由
いよいよ本題に入っていきます。
バナナが筋トレに効果がないのは「含まれている糖質のほとんどが果糖」だからです。
果糖は筋グリコーゲンにならない
筋トレを行うときには筋肉内に蓄えられた糖質(=筋グリコーゲン)が分解してATPが作られます。
ATPはエネルギー源なので、このATPが上手く作れないと筋肉を動かすことができなくなってしまいます。
逆に、筋グリコーゲンがたくさんあればあるほど、筋トレ中に力強いパワーを長い時間発揮できるのです。
これが筋トレ前の糖質摂取が大事だと言われる理由です。
しかし食事から摂取した糖質が全て筋グリコーゲンになるわけではありません。
糖質に色々な種類がありますが、もっとも有名な「ブドウ糖」は筋グリコーゲンになりやすいです。
しかしバナナに多く含まれる「果糖」は筋グリコーゲンにはならず肝臓でグリコーゲンになります。
したがってバナナから摂取した糖質は筋肉のエネルギーにはなることができず、筋トレのエネルギー補給には不向きなのです。
また同様の理由で、筋トレ後の糖質摂取にも不向きです。
筋トレ後は筋グリコーゲンが枯渇しているため、素早く糖質を筋肉に与えてやる必要があります。
バナナに含まれている果糖は筋グリコーゲンにならないので、筋トレ後の糖質補給にも適していないのです。
果糖は血糖値を上げにくい
果糖は血糖値を上げにくいという特徴も持っています。
血糖値をあげないというと身体にいいイメージを持つかもしれませんが、筋トレ後に限っては血糖値があがってくれた方が嬉しいのです。
筋トレ後は筋肉が合成されやすくなります。この時に筋肉の材料となるアミノ酸や糖質などを送ってあげることで、筋合成を高め、筋肉を増やすことができます。
ただ全身にこれらの栄養素を十分運ぶのは難しく、インスリンの働きを借りる必要があります。
インスリンがたくさん分泌されると、糖やアミノ酸を全身の筋肉に運んでくれます。
つまり筋トレ後は血糖値を上げる食事(=白米、パン、ブドウ糖単体など)をとることが筋肥大の近道なのです。
バナナは血糖値を上げにくいので、筋肉のもととなる材料を運ぶ力が弱いので注意しましょう。
筋トレ前後に摂取したい糖質
筋トレ前後に適した糖質の摂取方法は次の通りです。
筋トレ前後の糖質摂取方法
- 筋トレ前:糖質は基本的に不要
- 筋トレ中:体重1kgにつき1gの糖質(マルトデキストリンが最適)
- 筋トレ後:炭水化物を含む普通の食事
それぞれの理由についてみていきましょう。
筋トレ前の糖質
筋トレ前にはエネルギーを摂取しておく必要があると考えている方が多いですが、これは間違いです。
下の図が示す通り、普通の食事をしていれば、日中の筋グリコーゲンレベルは常に高い状態を維持しています。
(画像引用元:https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000803.html)
グラフの「コントロール群」は12時と18時に食事を摂取しており、「夜食群」は12時のあとに21時まで食事をとらなかったグループです。
この結果から普通に食事を食べていれば、まず筋肉内のグリコーゲンが枯渇することはないといえるでしょう。
また筋トレ前の糖質摂取は血糖値の上昇を引き起こすため、トレーニングの集中力低下やパワーダウンに繋がってしまいます。
少なくとも筋トレの2時間前には食事を終えておきましょう。(できれば吸収が速いものが良い)
筋トレ中の糖質
筋トレにより筋グリコーゲンが枯渇すると、糖新生と呼ばれる筋肉の分解が起きてしまいます。
これを防ぐためにトレーニング中は吸収の速い糖質を摂取しましょう。
トレーニング後の糖質の効果を確かめた研究では、体重1kgにつき、1gの糖質を摂取することで筋タンパクの分解を抑制できたとされています。(参考文献)
体重70kgの人であれば、ワークアウトドリンクとして70gの糖質を摂取すればOKです。
糖質の種類としては吸収が速く筋グリコーゲンに変換されやすい「ブドウ糖」や「マルトデキストリン」が適しています。
ブドウ糖は甘みが強いため、トレーニング中はマルトデキストリンの方が飲みやすいと私は感じました。
筋トレ後の糖質
筋トレ後はプロテインなどから補給するタンパク質を筋肉に運ぶために、しっかりと糖質を摂取するようにしましょう。
トレーニング中に糖質を摂っている場合は、白米やパンなど普通の食事から摂取する糖質で十分です。
トレーニング中に糖質をとっていない場合は、なるべく早く筋グリコーゲンを回復される必要があるので、ブドウ糖やマルトデキストリンを摂取しましょう。その後で通常の食事をとると良いです。
筋トレにはバナナではなくマルトデキストリン
いかにも筋肉に良さそうなバナナですが、実は筋トレにとってはあまり大事な食べ物ではありません。
筋トレに糖質は必要ですが、糖質の種類にも注意して摂取しなければ効果は薄くなってしまうので注意して下さい。
今回お話しした内容をまとめると次のようになります。
まとめ
- バナナの糖質は果糖がほとんど
- 果糖は筋グリコーゲンにならないので筋トレのエネルギー源にはならない
- 果糖は血糖値をあげないので筋肥大効果は薄い
- 筋トレにはマルトデキストリンが適している
筋肥大と深い関係がある糖質の摂取方法をマスターして、カッコいい身体を手に入れましょう!
それではまた!
▽糖質の種類について詳しく知りたい方は次の記事をどうぞ。(果糖の危険性についても書いてあります)
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糖質は体に悪いのか?糖質の種類と性質を理解して正しい摂取方法を学ぼう
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