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筋トレで瞬発力を鍛える方法を解説【神経系と速筋を鍛えるプログラム】

 

「50m走のタイムを伸ばしたい」

「筋トレで高重量をもっと扱えるようになりたい」

「スポーツで機敏な動きができるようになりたい」

 

スポーツの様々な場面で必要とされるのが「瞬発力」です。

しかし瞬発力を鍛えるトレーニング方法を正しく説明しているサイトは非常に少ないのが現実です。

巷でよく言われる「速筋繊維を鍛えろ!」だけでは瞬発力を鍛えるには不十分です。

 

この記事では瞬発力を発揮する原点となる「神経」と「速筋」の二つに焦点を当てながら、瞬発力を鍛える効果的な方法を説明します。

 

この記事を読むと分かること

  • 瞬発力とは何か
  • 瞬発力を鍛えるために必要なこと
  • 瞬発力を鍛えるトレーニング方法
  • 瞬発力アップに効果的なサプリメント

 

瞬発力とは

 

瞬発力とは、瞬間的に発揮できる筋肉の力の強さを意味しています。

筋肉が発揮できる力(=筋力)には2種類あり、「静的筋力」と「動的筋力」に分けることができます。

 

静的筋力は重りをずっと持ち上げるような筋肉がずっと緊張した状態で発揮する筋力のことです。

動的筋力は筋肉が収縮する際に発揮する筋力のことです。

 

瞬発力は後者の方で、筋肉が収縮する際の筋力を向上させることが瞬発力を伸ばす上で大切になります。

 

筋力の種類

  • 静的筋力:筋肉が緊張したまま力を発揮する
  • 動的筋力:筋肉が収縮しながら力を発揮する

瞬発力を鍛えるには「動的筋力」を鍛えることが大切!

 

瞬発力をつかさどるモーターユニット

SASAMI
瞬発力を鍛える上で常に意識してほしいのが「神経系」です。
omochi
神経?神経と瞬発力ってどんな関係があるの?
SASAMI
瞬発力というと多くの人が筋肉のことばかり考えてしまうけど、本当に大事なのは神経系なんだ。瞬発力をつかさどっているのは神経系って覚えておいて。

 

筋肉が力を発揮するときに指令を出しているのは「神経」です。

簡単に筋肉の構造を見ていきましょう。筋肉は下の写真のような構造になっています。

(出典:https://www.sakaimed.co.jp/knowledge/surface-electromyogram/basic/basic01/)

 

1本の神経が複数の筋繊維につながっている様子がわかりますね。

この1本の神経がつながっている筋繊維を一つの「モーターユニット」といいます。

実は私たちが筋肉を動かすときはすべてのモーターユニットが働くわけではありません。必要最小限のモーターユニットしか働かない構造になっているのです。

 

omochi
筋肉は怠け者なのね。
SASAMI
そうだね。働かなくていい時は働かない主義ってこと!

 

火事場の馬鹿力という言葉あるように、いざというときは普段出せないような力を発揮できるといわれています。

これはリミットが解除されて、すべてのモーターユニットが働くからです。

でも残念ながら、日常生活ではどんなに力を出したいと思っても、すべてのモーターユニットを動かすことはできません。

 

唯一リミットを解除していける方法が「神経系のトレーニング」です。

神経系トレーニングで少しずつリミットを解除していけば、徐々に一度に動員できるモーターユニット数を増やすことできます。

 

瞬発力を発揮する速筋繊維

 

筋線維は、大きく速筋と遅筋の2種類に分けられ、全ての筋肉は速筋と遅筋が混在しています。

速筋は瞬発的に大きな力を出す筋肉で、筋トレなどの無酸素運動をするときに使われます。

一方、遅筋は大きな力は出せませんが、持久力を発揮する筋肉で、マラソンなどの有酸素運動で使われます。

 

実は速筋と遅筋の中間的な役割を果たす筋繊維もあるので、ここでは正しい筋繊維の分類方法で記載させて頂きます。

  1. 遅筋線維であるタイプⅠ
  2. 速筋線維で持久力のあるタイプⅡa
  3. 速筋線維で持久力のないタイプⅡx

 

遅筋は1種類しかありませんが、速筋は瞬発力があり持久力もそこそこあるタイプIIa、瞬発力はあるが持久力のないタイプIIxの2種類に分けられます。

瞬発力を発揮するときは速筋が大きく関与しているので、速筋を鍛えることが瞬発力を伸ばすために必要です。

 

omochi
この3つはそれぞれ違うタイプに変わることはできるの?
SASAMI
タイプIIaとタイプIIxはトレーニングによって入れ替わることはできるけど、タイプIとタイプIIは入れ替わることはないよ

 

筋トレをすると遅筋繊維が減って速筋繊維が増えると勘違いしている人も多いですが、どんなに高強度の筋トレをしても遅筋が速筋に変わることはありません。

でも筋トレをすると持久力が減ってしまうのは事実です。これは速筋繊維だけど持久力もあるタイプIIaが持久力のないタイプIIxに変わってしまうからです。つまり速筋同士でタイプが変わることはあり得ます。

(人間以外の動物では遅筋→速筋の変換が確認されているが、人間では確認されていない)

 

高強度の筋トレを行うと、持久力のある速筋が減り、その代わりにより瞬発力のある速筋が増えるのです。

 

瞬発力向上=パワーウェイトレシオの向上

「神経系の発達」と「速筋繊維(タイプIIx)の増加」が瞬発力を発揮するために大切だとお分かりいただけたと思います。

人よりもさらに高い瞬発力を手に入れるためには、この二つのバランスで決まるパワーウェイトレシオという考え方が必要になります。

 

パワーウェイトレシオは自動車の性能を表すために使われる指標ですが、ここでは「体重1kgあたりに発揮できる最大筋力」と定義します。

 

例えば体重60kgの人が120kgのスクワットをできるとすれば、パワーウェイトレシオは”2”です。

同じ120kgスクワットでも体重80kgの場合は、パワーウェイトレシオは”1.5”になります。

この二人が自重スクワットのスピードで対決したら、勝つのはパワーウェイトレシオが2の方です。

 

このように瞬発力を高めるためには、単に最大筋力を伸ばすのではダメで、体重をなるべく増やさずに最大筋力を伸ばすことが必須です。

 

omochi
速筋の量だけでいったらボディビルダーが圧倒的だけど、陸上の短距離選手の方が足が速いのは、パワーウェイトレシオの違いってことだったんだ!
SASAMI
まさにその通り。ボディビルダーの方が脚の筋肉は大きいけど、その分体重が重いから動きは鈍くなってしまうんだ。

 

ボディビルダーは速筋を増やす筋肥大を目的としたトレーニングを行っています。その過程で神経系も発達していますが、体重増加分に負けてしまっているのです。

じゃあ筋肥大を目的としたトレーニングをしなくていいかというと、そんなことはありません。

速筋が全然発達していない人が出せる最大筋力は限られているので、速筋繊維を鍛えつつ、神経系のトレーニングも並行して行う必要があります。

 

パワーウェイトレシオを高める方法

  • 神経系トレーニングを中心にモーターユニット動員数を増やす
  • 補助的に速筋繊維を増やすトレーニングを行う
  • 神経系トレーニング>筋肥大トレーニングになるようにプログラムを組む

 

瞬発力を鍛えるトレーニングプログラム

 

パワーウェイトレシオを高くし、瞬発力を向上させるには「ウェーブトレーニング」が有効です。

まずは具体的なトレーニング内容を見ていきましょう。

 

瞬発力アップ向けウェーブローディング

  • 1セット目:MAX75%×6回
  • 2セット目:MAX90%×1回
  • 3セット目:MAX80%×6回
  • 4セット目:MAX95%×1回
  • 5セット目:MAX85%×6回
  • 6セット目:MAX100%×1回
  • セット間インターバル:3分以上、可能なら5分

 

普通の筋トレとは大きく異なり、重量を増やしたり減らしたり、それに応じて回数を減らしたり増やしたりする特殊なトレーニングです。

このトレーニングでは「神経系の発達に必要な刺激」と「筋肥大に必要な刺激」を両方手に入れることができます。

 

活動後増強(PAP)

ウェーブトレーニングの最大の目的は「活動後増強(PAP:Postactivation potentiation)」を引き起こすことです。

 

筋トレでMAXチャレンジをした時など、一度重い重量をもった後に軽い重量を扱うと普段よりもずっと軽く感じた経験はありませんか?

これは神経系が活性化されたからです。これを活動後増強と呼びます。

 

活動後強度に関して調べた研究をご紹介します。[1]

研究内容

  • 対象:スクワットのMAX重量が体重の1.5倍を超える男性8名
  • 目的:事前負荷がその後の筋力発揮に与える影響を調べること
  • 種目:ハーフスクワット、ジャンプ
  • 方法:MAX40%とMAX80%でアップした時の筋パワーとジャンプ高を比較

 

結果が次の二つのグラフになります。

ウォーミングアップ強度と速度の比較

ウォーミングアップ強度とパワーの比較

グラフを見ていただくとわかる通り、40%の重量でアップをしたときより、80%でアップをしたときの方が筋パワーと速度の両方で向上していることがわかります。

ジャンプ高については40%と80%で優位な差はみられなかったとしています。

(少し専門的な話になってしまいますが、一度高強度の筋収縮を起こすと、筋収縮をつかさどるカルシウムイオンに対するミオシンリン酸化が起こりやすくなるため、筋収縮力が向上するといわれています。)

 

この結果から、一度高重量を扱えば、次セットの質を高めることができることがわかります。

 

ウェーブトレーニングは活動後増強で筋力を発揮しやすい

ウェーブトレーニングは波のように重量を増減させてトレーニングするため、活動後増強により神経系を活性化させつつ、速筋強化に必要なトレーニング量を確保することができます。

このトレーニングを行うだけで、神経系と速筋の両方を強化できるのです。

トレーニング方法も非常にわかりやすく簡単なので、ぜひチャレンジしてみてください。

 

ただ強度が高いトレーニングになるので、インターバルを長めにとるようにしてください。

また体をしっかり休めるために週1回を限度に実施してください。

 

ウェーブトレーニングで瞬発力を鍛えよう

 

瞬発力を鍛えるには「神経系」と「速筋」の二つが重要であることがわかりました。

少しわかりにくかった部分があると思うので、もう一度内容を整理しましょう。

 

まとめ

  • 瞬発力を高めるには「神経系」と「速筋」の二つを鍛える必要がある
  • 神経系を鍛えると、一度に動かせる筋繊維の数が増える
  • 速筋を鍛えると、瞬間的に強い力を出せるようになる
  • 二つをバランスよく鍛えないとパワーウェイトレシオが低くなり瞬発力が向上しない
  • ウェーブトレーニングが瞬発力向上に最適

 

トレーニングに加えて強い体作りに欠かせないのが「栄養」です。

バランスの整った食事とサプリメントでだれにも負けない瞬発力を手に入れましょう。

 

▽これを食べるだけでアスリートに必要な栄養素を摂取できます。冷凍保存もできて便利ですよ。

 

▽瞬発力向上には「クレアチン」が効果的。瞬間的に力を発揮するときに必要な栄養素です。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

それではまた!

 

参考文献

[1]The Effects of Postactivation Potentiation on Muscular Strength and Power

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