筋肉をつけるためにはトレーニング後の「プロテイン」が常識ですよね。
しかし、プロテインなら何でもいいわけではありません。
プロテインの中身であるアミノ酸の割合を考える必要があるのです。
最近の研究で、必須アミノ酸の一つである「ロイシン」が筋肉の合成に欠かせないことが分かってきました。
プロテインにはたくさんの種類があり、それぞれロイシンの含有量が違います。
この記事では「ロイシンが筋肥大に関係している理由」と「各プロテインのロイシン含有量」を説明します。
この記事を読むと分かること
- ロイシンとは何か
- ロイシンが筋肥大に有効な理由
- プロテインの種類とロイシン含有量
- ロイシンの摂取方法
ロイシンとは
ロイシンは体内で合成することができない必須アミノ酸の1種です。
また必須アミノ酸の中でも近年注目されているBCAA(分岐鎖アミノ酸)の一つでもあります。
BCAAは「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の3つの必須アミノ酸の総称です。
BCAAが注目されている最大の理由が「肝臓ではなく、筋肉でしか代謝されない」ことです。
普通のアミノ酸は肝臓で代謝されてしまうので、大部分は筋合成に関与しません。
一方BCAAは筋肉でしか代謝されないので、筋肉の合成やトレーニングパフォーマンスの向上に一役買ってくれるのです。
そんなBCAAの中で、最も筋トレ効果を高めてくれるのがロイシンになります。
ロイシンの効果
ロイシンが筋合成に深くかかわっていることが最近の研究で明らかになってきました。
アミノ酸から筋タンパク質を合成するためにはmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)の活性化が必要です。
mTOR活性化すると、筋タンパク質の合成を促進する酵素を活性化して、筋肉を分解する酵素の活性を落とします。
通常mTORは筋繊維の収縮が刺激になって活性化します。
そしてロイシンはmTORを活性化させるために必要不可欠な存在であることが分かってきました。
筋トレを頑張ってもロイシンの摂取が少なければ、筋合成は起こりにくくなってしまうのです。
逆にロイシンをたくさん摂取しておけば、筋合成を活発にできます。
筋合成以外にもロイシンには筋トレに役立つ効果がたくさんあります。
ロイシンの効果
- 筋肉の合成を進める
- 筋肉の分解をおさえる
- 筋損傷の回復を早める
- 持久力を増やす
- 体脂肪を減らす
- 集中力をあげる
ロイシンをたくさん摂ればタンパク質は少量でOK
ロイシンの効果を調べるために、運動習慣のある20代の若者を対象に「ホエイプロテインを通常量(25g)飲む群」と「少量のプロテイン(6.25g)とたくさんのロイシン(5g)を飲む群」に分けて、筋トレ後に摂取された研究があります。[1]
このグラフを見ると、「25gのホエイを摂取した群」と「6.25gのホエイと5gのロイシンを摂取した群」は両者ともに同じ筋タンパク質合成率になっています。
筋肉をつくるためには必須アミノ酸が必要なので、普通に考えれば25gのホエイを摂取した方が筋タンパク質合成は活性化されそうです。
しかし実際にはロイシンを多量に摂取することで、少量のホエイでも同じ筋合成になっています。
これは普通のホエイプロテインを飲むだけではロイシンが少なく、筋タンパク合成を最大化できていないことを意味しています。
25gのタンパク質のうちほとんどは筋合成に使用されていないのです。
このことから筋合成を最大限高めたいのであれば、ホエイプロテインにロイシンを加えるか、ホエイプロテインを大量に摂取する必要があります。
タンパク質は過剰に摂取すると、内臓疲労の一因にもなるので、「ホエイプロテイン+ロイシン」をおすすめします。
各プロテインのロイシン含有量
プロテインの種類によってロイシンの含有量が大きく変わります。
なるべくロイシンが多く入っているプロテインを選ぶと筋肥大には効果的です。
こちらの表は各プロテイン100gに含まれているアミノ酸の含有量(g)になります。
ピー | ホエイ | カゼイン | ソイ | |
バリン | 4.0 | 4.6 | 6.0 | 4.0 |
ロイシン | 6.4 | 8.6 | 8.4 | 6.9 |
イソロイシン | 3.7 | 4.9 | 4.9 | 3.9 |
BCAA合計 | 14.1 | 18.1 | 19.3 | 14.8 |
植物性プロテインであるソイやピーよりも動物性プロテインであるホエイやカゼインの方がロイシン含有量が多くなっています。
動物性プロテインが体に合わない方や宗教上禁止されているなど特殊な事情がない限りは、動物性の製品を選ぶと良いでしょう。
カゼインとホエイを比べると、カゼインの方がロイシン量が多く効果的に見えますが、実はそうではありません。
ロイシンが筋合成に働きかけるには、血中のロイシン濃度を高める必要があります。
しかしカゼインは吸収が遅い分、ホエイに比べて、ロイシンの最大濃度が小さくなります。
これらを踏まえると、最もメジャーなホエイプロテインが一番高い筋肥大効果を持っているといえるでしょう。
プロテインのロイシン含有量
- 含有量:カゼイン>ホエイ>ソイ>ピー
- 吸収が速いホエイが最も効果的
ロイシンの摂取方法
ロイシンが多く含まれるホエイプロテインが最適であるとお話しました。
それに加えて、ロイシンを単体で摂取するのも非常に効果的です。
具体的な摂取タイミングは、「トレーニングの前後」または「食事やプロテインと一緒」に飲むのが良いでしょう。
トレーニングの前に摂取すれば、ロイシンが筋肉のエネルギー源にもなってくれるので、持久力が向上したり、集中力が上がります。
またトレーニング後はインスリンの働きを高めて、疲労回復や筋肥大を促進してくれます。
食事やプロテインと一緒に摂取すると、筋合成を最大限高めてくれるでしょう。
ロイシンの必要摂取量は0.7~3.0gだと国際スポーツ栄養学会が声明を出しています。
トレーニング前はロイシンやBCAA単体で摂取することが多いので、3gを目安にしましょう。
トレーニング後や食事と一緒に摂取するときは、サプリとして摂取するロイシン以外にも食事からとれるロイシンがあるので、1~2gを目安に摂取すれば十分効果が出ます。
ロイシンを摂取するときは、ロイシン単体よりもBCAAとして摂取することをおすすめします。
栄養は様々なものが相互に作用しあって、より高い効果を発揮するので、ロイシン単体よりもBCAAとして摂取する方が効率的なことが多いです。
具体的にはエネルギー生産に重要なクエン酸回路(TCAサイクル)での中間体をロイシンは作れませんが、残りのBCAAであるバリンは中間体を、イソロイシンは中間体とアセチルCoAの両方を作り出すことができます。
ロイシンだけではクエン酸回路をうまく回すことができませんが、BCAAならクエン酸回路をスムーズに回し、エネルギーを作ることができるのです。
ロイシンの摂取方法
- トレーニング前:ロイシン3g
- トレーニング後:ロイシン2g
- 食事と一緒に:ロイシン2g
- BCAAとしてロイシンを摂取するとより効果的
筋肉をつけたいならロイシンを味方につけよう
必須アミノ酸の一つであるロイシンがいかに筋肉にとって大切な存在かがお分かりいただけたでしょうか。
一言でロイシンの効果を言い表すと「筋合成のスイッチを押す役割」です。
ロイシンを意識して摂取し、理想の体に近づきましょう。
まとめ
- ロイシンの効果
- 筋肉の合成を進める
- 筋肉の分解をおさえる
- 筋損傷の回復を早める
- 持久力を増やす
- 体脂肪を減らす
- 集中力をあげる
- プロテインのロイシン含有量
- カゼイン>ホエイ>ソイ>ピー
- 吸収が速いホエイが最も効果的
- ロイシンの摂取方法
- トレーニング前:ロイシン3g
- トレーニング後:ロイシン2g
- 食事と一緒に:ロイシン2g
- BCAAとしてロイシンを摂取するとより効果的
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最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた!
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参考文献
[1]Leucine supplementation of a low-protein mixed macronutrient beverage enhances myofibrillar protein synthesis in young men: a double-blind, randomized trial.