コンビニに行くと必ず「ミルクプロテイン」が並んでいるようになりました。
従来の粉を水に溶かして飲むタイプと違って、手軽で飲みやすいのが良いところですよね。
さらにプロテインとは思えないほど、さっぱりした味が人気で、最近は筋トレをしていない人にも飲まれています。
そんなミルクプロテインは本当に筋肥大に効果的なのでしょうか。
この記事ではミルクプロテインに関する様々な研究例を紹介しながら、その効果に迫っていきたいと思います。
この記事を読むと分かること
- ミルクプロテインとはそもそも何か
- ミルクプロテインの筋肥大効果
- ミルクプロテインを飲むべきタイミング
ミルクプロテインとは
ミルクプロテインとはその名の通り「牛乳から作られたプロテイン」のことを指します。
プロテインの代表格「ホエイプロテイン」や吸収が遅いことで知られる「カゼインプロテイン」も牛乳から作られます。
これらと違ってミルクプロテインは「ホエイとカゼインを両方含んでいる」という特徴を持っています。
牛乳はホエイとカゼインの2種類のタンパク質を持っています。
これらのタンパク質をそれぞれ抽出して分離したものがホエイプロテインやカゼインプロテインなのです。
一方ミルクプロテインは牛乳が本来持っている「カゼイン80%」と「ホエイ20%」という比率のままタンパク質だけを抽出したものになります。
ミルクプロテインはアミノ酸スコアが高い
良質なタンパク質の指標として知られるアミノ酸スコアの数値を見るとミルクプロテインは100点満点になっています。
大分類 | 小分類 | アミノ酸スコア |
プロテイン | ホエイ | 100 |
カゼイン | 100 | |
ミルク | 100 |
ただアミノ酸スコアには少し問題あって、実際の消化吸収を考慮していなかったり、100を超えるタンパク質同士を比較できません。
この問題を解決するために新たに作られた指標が「DIAAS」です。
DIAASは現在もっとも正確にタンパク質の質を評価できる指標になります。
代表的なプロテインのDIAASをこちらの表に記載しました。
大分類 | 小分類 | DIAAS |
プロテイン | ホエイ | 1.09 |
カゼイン | - | |
ミルク | 1.18 | |
大豆(ソイ) | 0.91 | |
小麦 | 0.38 | |
エンドウ豆(ピー) | 0.82 |
ミルクプロテインはすべてのプロテインの中で最もDIAASの値が高くなっています。
カゼインは胃に入ると凝集し、胃での滞留時間が長くなります。
よくカゼインは胃で凝集するから消化されにくいと誤解されてしまいますが、それは間違いです。
カゼインは胃内の滞留時間が長くなることで、消化酵素による分解が十分に行われて、消化吸収が高まると報告されています。[1]
ミルクプロテインはカゼインを多く含むので、ホエイよりもDIAAS値が高くなったのです。
ミルクプロテインの効果
ミルクプロテインはDIAASが高く良質なタンパク質であることが分かりました。
加えて、筋肉増強に効果があると最近の研究で明らかになっています。
現在分かっているミルクプロテインの効果は次の二つになります。
ミルクプロテインの効果
- 筋肥大効果が高い(カゼイン・ソイよりも効果大)
- トレーニング中の水分補給に最適
それぞれ詳しく見ていきましょう。
筋肥大効果が高い
ミルクプロテインはホエイよりも良質なタンパク質であると説明してきました。
しかし体内でのタンパク質利用率と実際の筋タンパク質合成は必ずしも同じ結果にはなりません。
そこでホエイとミルクプロテインの筋タンパク質合成速度(一日あたりの筋量変化)を調査した研究があります。[2]
この研究ではラットに水泳をさせた後に各タンパク質を経口摂取させて240分後までの筋合成速度を測定しています。
結果がこちらになります。(MP:ミルクプロテイン、CA:カゼインプロテイン、WP:ホエイプロテイン、SP:ソイプロテイン)
まず左のグラフを見ると、ホエイが60分後にピークを迎えているのに対し、ミルクは90分後にピークを迎えています。
ミルクプロテインはカゼインを含み吸収が遅くなると予想されるため、予想通りの結果になっています。
続いて右のグラフでは30~240分後の筋合成速度を足し合わせた結果になります。
これは一回のプロテイン摂取で増えた筋量を表しています。
この結果から「ミルク>カゼイン>ホエイ」の順番で筋肥大効果が高くなっていることが分かります。
以前の記事でカゼインはホエイよりも筋肥大効果が劣るとお話しました。
-
カゼインプロテインのデメリットと摂取方法【就寝前に効果的はウソ!?】
続きを見る
ではなぜこの研究では真逆の結果が出てしまったのでしょうか。
実はこの研究では150gの体重のラットに対して、5gのプロテインが与えられています。
体重60kgの人間に換算すると2kgのタンパク質になります。
人間は約40gのホエイプロテインで筋肥大効果が頭打ちになると研究で明らかになっています。
したがってこの研究ではホエイプロテインは筋肥大効果が頭打ちになっていて、カゼインやミルクプロテインは吸収がおだやかなので、筋肥大効果が高いまま維持されて、さきほど述べた結果になっていると考えられます。
ただこの理屈だとカゼインよりもミルクプロテインが優れている説明がつきません。
詳しくは新しい研究を待つことにしますが、ミルクプロテインは少なくともカゼインよりも効果的であることは間違いなさそうです。
ミルクプロテインの筋肥大効果
- カゼインよりも効果的!
- ホエイと同等?
水分保持効果が高い
ミルクプロテインはトレーニング中の水分補給として非常に効果的です。
ザバスミルクプロテインを販売している明治の研究データによると、ミルクプロテインは「水分吸収速度がスポーツ飲料と同等以上」であるとされています。[3]
現在販売されているミルクプロテインの多くは「酸性ミルクプロテイン」と呼ばれ、胃内で凝固しにくくして、吸収を速めています。
これにより水分補給としても非常に優れたプロテインになっているのです。
なぜスポーツ飲料よりも優れているのかは未だよくわかっていませんが、ミルクペプチドが関係していると提唱する学者もいます。
スポーツ飲料に求められているのは「吸収の速さ」だけではありません。
水分を吸収した後にできるだけ長く体内に残り続けることが大切です。
そこで摂取後の尿排出量を調べた研究結果をご紹介します。[3]
このグラフの縦軸が尿排泄量なので、高いほど水分保持力が弱く、低いほど水分保持能力が高いことになります。
グラフを見てみると、ミルクプロテインはスポーツ飲料よりも排泄量が少ないことが分かります。
つまりミルクプロテインはスポーツ飲料よりも「吸収が速く、水分を保持しやすい」ということです。
さらにタンパク質を多く含んでいるので、トレーニング開始直後から始まる筋分解を抑えてくれる効果もあります。
ミルクプロテインの摂取タイミング
ミルクプロテインの特徴を最大限生かすには「トレーニング中」と「トレーニング直後以外」に飲むと良いでしょう。
ミルクプロテインの摂取タイミング
- トレーニング中
- トレーニング直後以外(トレーニング直後はホエイがおすすめ)
水分保持効果が高く、吸収も早いため、トレーニング中の水分補給として最適です。
味もさっぱりしたものが多いので、ホエイよりも格段に飲みやすいのもいいところです。
またホエイよりも吸収が遅く、血液中のアミノ酸濃度を高く維持してくれるので、トレーニングとは関係ない場面でのタンパク質補給に最適です。
具体的には「食間」や「就寝前」が良いでしょう。
トレーニング直後のゴールデンタイムは今のところ吸収が速い「ホエイプロテイン」が優れていると私は考えています。
ただミルクプロテイン一本に絞りたいと思うのであれば、ホエイの代わりに飲んでもいいと思います。
ミルクプロテインで美味しく筋肥大!
ミルクプロテインについてはホエイに比べてまだまだ研究例が少ないです。
ただ牛乳が本来持っているタンパク質構成はきっと生命にとって理想的な配分なのかもしれません。
そして何よりプロテインとは思えないほど”美味しい”です。
プロテインの味が苦手な人はぜひミルクプロテインを試してみてください。
まとめ
- ミルクプロテインはホエイよりも良質なタンパク質
- 筋肥大効果はカゼインやソイよりも高い
- トレーニング中の水分補給に最適
- とても美味しい
トレーニング中は430mLのザバスミルクプロテインがおすすめです。私は「さわやかフルーティ味」がさっぱりしていて好きです。
それ以外の場面では200mLのミルクプロテインが安くて続けやすいです。(タンパク質量は430と同じ)
最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた!
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参考文献
[1] 社団法人 中央酪農会議 牛乳の栄養学的および. 生理学的効用に関する総合研究
[2]ミルクプロテインの機能性と高付加価値化への取り組み
[3]明治公式HP(https://www.meiji.co.jp/milk-protein/research-result/seminar01/)