NOサプリメントの代表格といえば「アルギニン」と「シトルリン」です。
この二つの違いについてはっきりと分からない方が多いのではないでしょうか。
NOサプリを選ぶときの指標にもなるので、二つの違いを押さえておきたいですよね。
この記事では、同じようで同じではないアルギニンとシトルリンの違いについて詳しく説明していきます。
この記事を読むと分かること
- シトルリンとは何か
- シトルリンを多く含む食べ物
- シトルリンとアルギニンの違い
- シトルリンの効果
- シトルリンの摂取方法
▽アルギニンの効果と摂取方法についてはこちらを参考にして下さい。
アルギニンの筋トレ効果と摂取方法を解説【NOとは?タイミングや量は?】
目次
シトルリンとは
シトルリンとはアミノ酸の一種です。
ただ少し特殊なアミノ酸で、BCAAやアルギニンと異なり、遊離アミノ酸と呼ばれるタンパク質を合成しないアミノ酸の一つです。
遊離アミノ酸はシトルリンのほか、オルニチンやGABAなどが知られており、細胞内や血液中など、体中に存在しています。
また食品からはなかなか摂取できないアミノ酸です。
ウリ科の植物に多く含まれており、肉や魚などでは摂取できません。
アルギニンとシトルリンの関係
NO系サプリメントを探していると「アルギニン単体」か「アルギニン+シトルリン」で販売されていることが多いです。
これには理由があって、アルギニンとシトルリンは体内でお互いに助け合って作用しているのです。
オルニチン回路
私たちがタンパク質を含む食事をとると、タンパク質がアミノ酸に分解され、アミノ酸は代謝されます。
この時発生するのが「アンモニア」です。
「アンモニア=臭い」というイメージを持つ方が多いと思いますが、アンモニアはただ臭いだけでなく、有毒な物質でもあります。
そのため体内ではアンモニアを無害化する「オルニチン回路(尿素回路)」があります。
オルニチン回路は下図のように「オルニチン→シトルリン→アルギノコハク酸→アルギニン」と循環していきます。このオルニチン回路によってアンモニアを無害な尿素に変換し、尿として排出します。
このオルニチン回路の過程で作りだされるのが「NO(一酸化窒素)」です。
つまりNOサプリメントは、このオルニチン回路を担っているアルギニンやシトルリンを摂取することで、この回路をスムーズに回して、NOを発生させることを狙いにしています。
シトルリンはアルギニンを増やす
オルニチン回路を見ると分かる通り、シトルリンとアルギニンはお互いに変換される関係にあります。
シトルリンを摂取すれば、オルニチン回路を経由して、アルギニンの量が増えます。
逆にアルギニンを摂取すれば、オルニチン回路を経由して、シトルリンの量が増えます。
NOを放出するのはアルギニンですが、シトルリンを摂取することでも間接的にNO生産量を増やすことができるのです。
シトルリンの効果
シトルリンを摂取することで、アルギニンと同じような効果を得ることができます。
そこでアルギニンが筋トレにもたらしてくれる効果を見ていきましょう。
アルギニンの効果
- NOの放出
- 成長ホルモンの分泌
- グリコーゲン補充
- アンモニア除去
- 鎮痛作用
- 脂肪燃焼
- クレアチン合成
ここに挙げただけでも非常に多くの効果がありますが、他にも数多くの健康効果をもたらしてくれます。
特にトレーニーにとっては「NOの放出」が大事になります。
NOは次に挙げる4つの効果を持っています。
NOの効果
- 血管拡張
- 骨の強化
- 筋肉細胞の増加
- 免疫力向上
NOは血管を拡げる作用を持っており、筋トレのエネルギーを作るために必要な酸素をスムーズに運搬できるようにします。
これによりハードなトレーニングをしても疲れにくく、最後まで力を出し切ることができるようになります。
他にもトレーニングによって生成する乳酸やアンモニアなどの疲労物質の除去スピードを速めてくれます。
またトレーニング後には筋肉の合成に必要な栄養素が体のすみずみまで行き渡るのを手助けしてくれます。
シトルリンの摂取により、NOを多く作り出すことで筋トレの効果を最大限高めることができるのです。
シトルリンはアルギニンよりも効果的?
シトルリンは少し変わったアミノ酸で、アルギニンを直接摂取するよりも効率よく血中のアルギニン濃度を上昇させることが明らかになっています。
シトルリンは効率良く血中アルギニン濃度を上げる
アミノ酸の多くは口から摂取した後に肝臓で代謝されてしまいます。
アルギニンも同様で摂取したうちの大部分は代謝に使われてしまうので、全てがNO放出に利用されるわけではありません。
一方シトルリンは肝臓で代謝されないことが分かっています。
アルギニンは肝臓で消費されるので、体内で活用できる分は少ないですが、シトルリンは摂取したうちのほとんどを有効活用できるのです。
実際にシトルリンを3~6g 摂取したところ、血中アルギニン濃度が60%増加するという研究報告があります。[1]
これは同じ用量のアルギニンを摂取したときよりも30%高い結果でした。
ポイント
- アルギニンを直接摂取するよりもシトルリンとして摂取した方が血中アルギニン濃度を30%増加できる。
シトルリンは胃痛を引き起こさない
アルギニンはアルカリ性が強く、胃酸を薄めて、胃の中のpHを上昇させてしまいます。
その結果、胃痛が起こすケースが多々あります。
これは中性のアルギニンHCLを使用したり、空腹時にアルギニンを摂取することで対策できますが、少々やっかいです。
シトルリンは中性のアミノ酸なので、胃に入っても特に悪い影響をもたらしません。
ただアルギニンに比べて高価なので、シトルリン100%ではなく、アルギニンとシトルリンの混合サプリメントを使用するという手段もあります。
こうすることで、アルギニンによる胃痛を軽減しつつ、安価にサプリメントを購入できます。
シトルリンの摂取方法
シトルリンのベストな摂取方法は次のようになります。
シトルリンの摂取方法
- シトルリンの摂取量
- 一回あたり1~3g(男性2g以上、女性1g以上)
- シトルリンの摂取タイミング
- トレーニングの60~90分前に摂取する
- トレーニングをしない日は起床直後に摂取する
アルギニンを摂取してから、NOの放出が始まるまでには60分のタイムラグがあります。
ただしシトルリンの場合は、「シトルリン→アルギニン」の反応まで加味してあげる必要があります。そこでトレーニングの90分前を目安に摂取するように心がけましょう。
またトレーニングをしない日でも、筋肉の合成は行われているので、アンモニア除去効果や栄養の循環を考えてシトルリンを摂取するようにして下さい。
▽詳細はアルギニンの記事で説明しています。
アルギニンの筋トレ効果と摂取方法を解説【NOとは?タイミングや量は?】
シトルリンで筋トレ効果を高めよう!
シトルリンはアルギニンと同じく筋トレに非常に効果的であることが分かりました。
アルギニンに比べて、体内で利用される割合が多いのは少し驚きの結果でしたね。
今回お話しした内容を整理するとこのようになります。
まとめ
- シトルリンの効果
- 血管を拡げる
- 筋肉細胞を増やす
- 脂肪燃焼を促進する
- アンモニアを除去する
- アルギニンを直接摂取するよりも効率的
- シトルリンの摂取方法
- 1日に1~3g摂取する(男性2g以上、女性1g以上)
- トレーニングの60~90分前に摂取する
- トレーニングをしない日は起床直後に摂取する
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▽より安価に済ませたい方はアルギニンとシトルリンの混合タイプを選んでください。混合タイプの場合は体内での利用効率が少し落ちるため、一回あたり5g摂取して下さい。
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参考文献
[1]Citrulline: pharmacological perspectives and its role as an emerging biomarker in future.