筋トレの定番サプリメントの「BCAA」と最近になって注目され始めた「EAA」
同じ必須アミノ酸ということで、どちらを選んだらいいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
似ているようで実は違いがあるこの2つを徹底的に比較した結果、どちらか一方を選ぶならBCAAがいいという結論に達しました。
この記事ではBCAAとEAAの特徴・効果を解説し、この2つを比較した結果をご紹介します。
この記事を読むと分かること
- BCAAとは何か
- EAAとは何か
- BCAAとEAAの違い
- BCAAの効果的な飲み方
- おすすめのBCAAサプリメント
目次
BCAAとは
BCAAとEAAの違いを理解するために、まずはそれぞれの特徴を覚えておきましょう。
BCAAの基礎知識
BCAAとは「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の3つの必須アミノ酸のことです。
「Branched Chain Amino Acids(分岐鎖アミノ酸)」の頭文字をとってBCAAです。名前の通り、枝分かれ構造をもっていることからバリン・ロイシン・イソロイシンはひとくくりにされています。
必須アミノ酸とは?
- 必須アミノ酸とは体内で合成できないアミノ酸のこと
- 食事やサプリメントからの摂取が必要になる
他の必須アミノ酸は肝臓で代謝されるのに対し、BCAAは筋肉で代謝されます。
この違いが筋肉の合成に大きく関係していると言われています。
具体的にはBCAAは下記の次の効果を持っていることが研究から明らかになっています。
BCAAの効果
- 筋肉の合成を進める
- 筋肉の分解をおさえる
- 筋損傷の回復を早める
- 持久力を増やす
- 体脂肪を減らす
- 集中力をあげる
効果①筋肥大促進
BCAAを摂取することで、二つの面から筋肥大を進めてくれます。
- 筋肉の合成量を増やす
- 筋肉の分解を防ぐ
筋肉は常に合成・分解を繰り返しているので、このバランスを傾けることで筋肉が増えます。
筋肉を増やすためには、合成量を増やすか、分解量を減らすことが大切です。
BCAAはこの両方に働きかけるので、筋肥大にとって非常に効果的な栄養成分です。
筋タンパクを合成するmTORシグナル伝達回路をロイシンが活性化させるため、筋肉の合成スイッチが押されます。
またロイシンはタンパクを分解する酵素の働きを阻害する効果も持っていることが分かっています。
効果②筋損傷の回復を早める
筋トレを行うと、筋繊維がわずかに損傷を起こします。これによって筋肉痛が起こるわけですが、BCAAは筋肉のダメージを素早く回復させることが分かっています。
実際にBCAAを十分量に飲むと筋肉痛がかなり和らぐのが実感できると思います。
またロイシンはインスリンの分泌を促す効果があるため、筋トレによって失われた筋グリコーゲン(筋肉に貯蔵されている糖)を素早く回復させることもできます。
効果③持久力を増やす
ランナーやロードレーサーが積極的にBCAAを摂取する理由が「持久力アップ」です。
BCAAの摂取により、筋損傷が抑えられることは先ほど説明しましたが、長時間の運動においては筋損傷を抑えることで、高いパフォーマンスを長時間発揮できることに繋がります。
様々な研究でこの効果は明らかにされています。
また有酸素運動だけでなく、筋トレでも持久力アップの恩恵をうけることができます。
トレーニングによって血液中の乳酸濃度が上昇するのを抑えてくれるため、レップ数が増えることが期待できます。
実際に私がBCAAを飲んだところ、ベンチプレス・デッドリフト・スクワットの3種目でレップ数が増えました。
▽詳細はこちらに記載しています。
【効果検証】アミノバイタルGOLDのトレーニングへの効果をレビュー
効果④体脂肪を減らす
BCAAは筋肉にだけ効果があるのではなく、実は体脂肪を減らす効果も持っています。
ロイシンは満腹ホルモンであるレプチンの感受性を高めることが分かっています。レプチンが働くことで、脳が十分栄養があると感じ、食欲を減らします。
ロイシンを摂取するとこのレプチンが働きやすくなるので、食べ過ぎを防いでくれるのです。
またダイエット中はエネルギー不足に陥るので、血糖値が下がりやすいです。
血糖が下がると、「糖新生」と呼ばれる筋肉の分解が起こります。このためダイエット中は筋肉が分解されやすく、代謝の悪い体になってしまがちです。その結果ダイエットが思うように進まなかったり、リバウンドの原因になってしまいます。
BCAAには筋肉の分解をおさえる作用があるので、ダイエット中の筋肉の減少を抑えてくれます。
効果⑤集中力アップ
筋トレを行うと、必須アミノ酸のひとつである「トリプトファン」が脳内に入り、セロトニンになることが分かっています。
幸せホルモンとも言われる「セロトニン」ですが、運動中のセロトニン増加は筋収縮を低下させ、疲労のもとになってしまうのです。
BCAAはトリプトファンと同じ運搬体を使って脳内に入るため、BCAAを十分摂取することで、トリプトファンの脳内への侵入を防ぎ、セロトニンの増加を防ぐことができます。
疲労を軽減することで、ハードなトレーニングを行っても最後まで集中して筋肉を追い込むことができるようになります。
注意点:単独では筋肉を合成できない
BCAAの注意点として、BCAA単独では筋肉を合成できないことがあげられます。
筋肉の材料となる必須アミノ酸9種類がそろって初めて、筋肉が合成できます。
したがってBCAAにどんなに筋肥大促進効果があっても、材料がなければ筋肉は作られないのです。
これを防ぐ方法もあります。詳しくは「BCAAとEAAの違い」の章で説明します。
EAAとは
EAAはBCAAに比べてまだまだマイナーなサプリメントです。
名前の由来は「Essential Amino Acids(必須アミノ酸)」です。
つまり筋肉の合成に必要な必須アミノ酸9種類を全て含むサプリメントになります。もちろんその中にはBCAAも含まれます。
EAAの効果
- 筋肉の合成を進める
- 筋肉の分解をおさえる
- 筋損傷の回復を早める
- 持久力を増やす
- 体脂肪を減らす
集中力をあげる- 筋肉を素早く合成できる
効果①BCAAとほぼ同じ効果が得られる
EAAはBCAAを含むことから、十分な量を摂取することで、BCAAと同じ効果を得ることができます。
しかしトリプトファンを含んでいることから、トレーニング中の疲労感が強まる可能性はあります。
効果②筋肉を合成できる
EAAは必須アミノ酸を全て含んでいるため、それだけで筋肉を作ることができます。
そしてプロテインと違って、タンパク質を分解してアミノ酸にする工程がないため、摂取した後すぐに血中のアミノ酸濃度を上昇させることができます。
プロテインの中でも吸収が速いホエイプロテインよりも、はるかに速く体に吸収されるため、筋肉の合成を促す「ロイシン」の血中濃度を一気に上げることができます。
血液中のロイシン濃度を急激に上昇させることで、筋肉の合成量が最大になります。
つまりEAAはプロテインに比べて筋肉を合成させる力が強いということになります。
注意点:15g以上摂取するとお腹を下す
EAAは一度に大量に摂取するとお腹を下してしまいます。
これは「浸透圧性下痢」のためです。
EAAはすでに分解された状態にあるため、腸内のEAA濃度を一気に上昇させます。
腸内に高濃度の物質が存在すると、濃度を下げようとして、体液が腸内に入り、EAA濃度を薄めます。
その結果、腸内に大量の水分が入ってきてしまい、お腹を下してしまうのです。
目安として15g以下に抑えることでお腹を下すことなく、摂取できると思います。
BCAAとEAAの違い
BCAAとEAAの違いを表にまとめました。
BCAA | EAA | |
筋合成 | ロイシンが筋肉の合成スイッチを押し、筋肥大をサポート。しかしBCAAだけで筋肉は作れない。 | 単独で筋肉を合成できる。プロテインよりも筋肥大効果が大きい。 |
回復 | 筋繊維の回復を早める。 | |
持久力 | 筋肉のエネルギー源になり、持久力が上がる。 | |
体脂肪 | 食べ過ぎと代謝低下を抑えて、体脂肪を減らす。 | |
集中力 | トリプトファンがセロトニンになるのを阻害し、疲労を感じにくくなる。 | トリプトファンが含まれているため、BCAA効果を打ち消してしまう。 |
筋合成はEAAが優れており、集中力アップに関してはBCAAが優れているという違いになります。
BCAA単独で筋合成ができないというデメリットは「プロテインとの併用」で解決できます。
具体的にはトレーニング1時間前にホエイプロテインを摂取して、トレーニング中の血中アミノ酸濃度を高めておき、トレーニング中にBCAAを飲むことで、筋肥大効果も高めることができるのです。
この方法であれば、プロテイン内のトリプトファンとBCAAを拮抗させたあとに、BCAAを追加で飲むため、集中力アップの効果も期待できます。
EAAは15g以上摂取するとお腹を下してしまうことから、一度に合成できる筋肉量が制限されてしまうため、BCAA+プロテインの方が効果的と言えるでしょう。
ポイント
- BCAAはプロテインと併用することで、EAAを上回る効果を得られる
- トレーニング1時間前にホエイプロテインを摂取し、トレーニング中にBCAAを摂取する
BCAAとEAAのコストの違い
BCAAとEAAの効果は一長一短であることがわかりました。
続いてはサプリメントを続ける上で大事なコストで比較してみます。
1gあたりの費用 | ロイシン1gあたりの費用 | |
BCAA | 6 | 15 |
EAA | 10 | 24 |
(マイプロテインのBCAA・EAAを比較)
グラムあたりの値段はEAAによりもBCAAの方が安いことが分かります。
ただEAAは筋肉合成できる必須アミノ酸も含んでいるので、BCAAよりも高価なのは当然です。
そこでEAAとBCAA+ホエイプロテインで比べてみました。
一食あたりの費用[円] | |
BCAA+ホエイ | 138 |
EAA | 156 |
(マイプロテインのBCAA・プロテイン・EAAを比較)
コスト面でもEAAより「BCAA+ホエイ」の方がコスト的に有利だと分かります。
どちらかを選ぶならBCAAがおすすめ
これまで説明してきた内容をもとに再度表を作りなおすと次のようになります。
BCAA+ホエイ | EAA | |
筋合成 | ◎ | 〇(一度に15gが限界なので) |
回復 | 〇 | 〇 |
持久力 | 〇 | 〇 |
体脂肪 | 〇 | 〇 |
集中力 | 〇 | △ |
コスト | 〇(138円/食) | △(156円/食) |
BCAA+ホエイの飲み方
- トレーニング前にホエイプロテインを20g摂取する
- トレーニング中に5gのBCAAを摂取する
- トレーニング後にホエイプロテインを20g摂取する
おすすめのBCAAサプリメント
BCAAサプリメントを選ぶときのポイントはロイシン:バリン:イソロイシン比率が2:1:1になっているかどうかです。
ロイシンが筋肉に様々な作用をもたらすことから、ロイシン比率をとても高く設定した商品がありますが、実はロイシンの筋合成効果はあるところで頭打ちになります。
最近の研究では3gのロイシンで十分だと明らかになっているため、2:1:1のBCAAで十分です。
逆にロイシンを過剰に摂取すると、バリンやイソロイシン不足をもたらす可能性があるので注意しましょう。
2:1:1のBCAAでかつ価格が安い商品はこちらになります。
BCAAの中にはフレーバー付の商品も多いですが、人工甘味料や香料は体に悪影響をもたらす可能性があるので私はおすすめしていません。オプティマムのBCAAはノンフレーバーなので、安心して飲むことができます。
プロテインは「ボディウィング」が人工甘味料不使用かつ最安値です。
配送に時間がかかっても良い方は「マイプロテイン」もおすすめです。
フレーバー付のも数多くあるので、BCAAの味が苦手な方でも飲めます。
BCAAとホエイプロテインでカッコいい身体を目指しましょう!
それではまた!
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