肩のトレーニングをしても筋肉痛がこない人は結構いるのではないでしょうか。
私自身筋トレを始めて5年になりますが、肩トレで筋肉痛がくるようになったのはごく最近になってからです。
筋肉痛がこなくても筋肉は大きくなっていきますが、刺激をきちんと与えられていないと成長速度が遅くなる場合もあります。
この記事では肩の筋トレで筋肉痛がきにくい理由と対策について詳しく説明していきます。
この記事を読むと分かること
- 筋肉痛のメカニズム
- 肩トレで筋肉痛がこない原因
- 筋肉痛を起こしやすいメニュー
目次
筋肉痛のメカニズム
筋肉痛が起こるメカニズムは医学的にまだ解明されていません。
運動中に発生する乳酸によって筋肉痛が発生すると言われてきましたが、これでは整合のつかないことが多いため、最近では否定されつつあります。
その代りに「筋繊維の損傷がもたらす痛み」が筋肉痛だとする説が有力視されています。
筋肉痛のメカニズム(有力説)
- 高強度のトレーニングなどで筋線維や周りの結合組織に微細な傷がつく
- 損傷した筋線維の場所に白血球が集まる
- 損傷部位に炎症が起き、刺激物質が生成される
- 刺激物質が筋膜を刺激する
- 感覚中枢を介して、脳が痛みを感じる
(画像引用元:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/39_kinnikutsu/)
筋繊維が損傷する(損傷と言ってもミクロな話なのでケガとは異なる)ことで、損傷部位を修復するために白血球が集まります。
そうすると炎症が起こり、刺激物質が生成されることで痛みを感じると言われています。
3つの筋力発揮形態
筋肉には大きく分けて3つの筋力発揮形態があります。
3つの筋力発揮形態について
- コンセントリック:筋肉が縮ながら力を発揮する(収縮運動)
- エキセントリック:筋肉が伸びながら力を発揮する(伸展運動)
- アイソメトリック:筋肉が同じ長さのまま力を発揮する
1つ目は、コンセントリックと呼ばれる「筋肉が縮ながら力を発揮する状態」です。コンセントリック動作をポジティブと呼びます。
ベンチプレスで例えるとバーベルを持ち上げる時の動作にあたります。
2つ目は、エキセントリックと呼ばれる「筋肉が伸びながら力を発揮する状態」です。エキセントリック動作をネガティブと呼びます。
ベンチプレスで例えるとバーベルをおろす時の動作です。
そして最後の3つ目がアイソメトリックと呼ばれる「筋肉が同じ長さのまま力を発揮する状態」です。アイソメトリック動作をアイソメトリクスと呼びます。
ベンチプレスで例えると、バーベルを腕を伸ばし切った状態と胸まで下げた状態の中間地点で維持しつづけるような動作になります。あまり筋トレでは用いられない動作になります。
腹筋運動の代表格である「プランク」はアイソメトリック運動になります。
筋肉痛になりやすいトレーニング
3つの中で最も大きな筋力を発揮できるのが「エキセントリック運動」です。
ベンチプレスで限界まで追い込むと、それ以上持ち上げることはできませんが、誰かに補助してもらい上まであがれば、自力でゆっくりバーベルを降ろすことはできるはずです。
筋力が一番強いということは、エキセントリックを意識したトレーニングをすることで、筋繊維に大きな負荷を与えることができます。
つまりネガティブ動作で大きな負荷がかかるストレッチ種目は筋繊維が損傷しやすく、筋肉痛になりやすいです。
ストレッチ種目の例 | |
大胸筋 | ダンベルフライ |
背中 | プルオーバー、(懸垂) |
上腕二頭筋 | インクラインダンベルカール |
上腕三頭筋 | オーバーヘッドエクステンション |
三角筋 | インクラインサイドレイズ |
脚 | シシースクワット |
肩トレで筋肉痛が起こりにくい理由
肩トレで筋肉痛が起こりにくい最大の理由はストレッチ種目が非常に少ないからです。
ストレッチ種目は「筋肉が最大伸展した時に最も負荷がかかる種目」のことです。
肩トレの代表格であるサイドレイズは三角筋が最大伸展するボトムポジションで完全に負荷が抜けてしまいます。
アップライトロウも同じくボトムポジションで負荷が抜けてしまいます。
ケーブルを使用したサイドレイズではストレッチ状態でも負荷が抜けないようにできますが、ケーブルはプーリーとの摩擦があるため、ネガティブ動作では負荷が小さくなってしまいます。
肩トレにはそもそもストレッチ種目が非常に少ないので、普通にトレーニングプログラムを組むと筋肉痛が起こりにくいのは当然のことです。
筋肉痛が起こりにくいトレーニングプログラム
- ショルダープレス
- サイドレイズ
- フロントレイズ
- リアレイズ
筋肉痛が起こりやすい肩のトレーニング種目
肩が筋肉痛になりにくい理由が「ストレッチ種目を取り入れていないこと」なのであれば、ストレッチ種目をトレーニングプログラムに取り入れてしまえばいいのです。
スミスマシンショルダープレス
最もおすすめしたい種目がスミスマシンを使った「ショルダープレス」です。
通常ショルダープレスを行う場合は、上腕が床と平行になるところまでしかバーベルを降ろさないと思います。
これでは筋繊維を損傷させるほど大きな刺激を与えることができません。
そこでバーが胸にあたるところまで完全降ろし切り、三角筋をストレッチさせましょう。
ショルダープレスはボトムポジションでも負荷が抜けないので、最大限ストレッチした状態で高負荷を与えることができます。
スタートポジション(ストレッチ)
フィニッシュポジション(収縮)
上の写真はオリンピアで優勝経験のあるジェレミーブエンディアのトレーニングの様子です。
ストレッチポジションで三角筋が完全にストレッチするようにバーをなるべく下まで下げていることが分かります。
ストレッチ種目は筋肉痛がくるだけでなく、筋肥大効果がもっとも高いトレーニングです。さらにこの種目は複数の関節が関与するコンパウンド種目なので高重量を扱うことが可能です。
肩トレの最初に取り入れたいメニューです。
注意点は肩の可動域が非常に広くなるため、いつものショルダープレスと同じ重量で行うとケガをするリスクが高くなります。
普段使わない可動域部分は弱いことが多いので、軽い重量から初めて、トレーニングを重ねるごとに重量を上げていきましょう。
またウォーミングアップは入念に行うようにしましょう。
スミスマシンショルダープレス
- 高重量を扱うことができるので、肩トレの最初におすすめ
- 三角筋をストレッチさせるためにバーを完全に降ろす
- ケガのリスクが大きいため、ウォーミングアップを入念に行う
インクラインサイドレイズ
スミスマシンショルダープレスは三角筋前部~中部を鍛える種目でした。
続いては「三角筋中部」や「三角筋後部」を鍛える「インクラインサイドレイズ」を紹介していきます。
スタンディングやシッティングで行う普通のサイドレイズでは三角筋に負荷がのっている時間が非常に短いです。
特にストレッチポジションではほとんど負荷が抜けてしまっているので、これでは筋肉痛を起こすことは非常に難しいです。
そこでインクラインベンチ台を使ったサイドレイズを行いましょう。
下の写真のようにインクラインベンチに横たわり、サイドレイズを行います。ストレッチポジションでは負荷が抜けないように常に三角筋を意識します。
スタートポジション(ストレッチ)
フィニッシュポジション(収縮)
このインクラインサイドレイズでは手の甲を真上に向けることで三角筋中部を鍛えることができます。
三角筋後部を鍛えたい時は親指を下に向けて行うと後部に刺激を入れることができます。
インクラインサイドレイズは単関節種目なので、重量をもとめるのではなく、三角筋をしっかり意識して負荷が常に乗った状態を作りましょう。
トレーニングの順番としては2~3種目目に適しています。
インクラインサイドレイズ
- 肩トレの2~3番目に適している
- 中重量で効かせることを意識する
- 中部を鍛えたい時は手の甲を上に向ける
- 後部を鍛えたい時は親指を下に向ける
トレーニングプログラム
ストレッチを意識した肩トレは筋肥大に非常に有効なので、今回紹介した2種目を中心に自分に合ったトレーニングプログラムを作ってみて下さい。
参考までに筋肥大を意識したトレーニングプログラムをご紹介します。
トレーニングプログラム
- スミスマシンショルダープレス:8~10回×3SET
- インクラインサイドレイズ(中部):10~12回×3SET
- インクラインサイドレイズ(後部):15回×3SET
「筋肥大=ストレッチ」ともいえるくらいストレッチ種目は大事なので、ストレッチ種目だけで三角筋をバランスよく鍛えることを目的としたトレーニングプログラムです。
スミスマシンショルダープレスはストレッチを意識しているものの、本来は高重量を扱えるミッドレンジ種目なので、筋力を伸ばしていく効果も持っています。
【結論】肩トレでも筋肉痛はくる!
筋肉痛のメカニズムから考えると筋肉痛がこない理由が明らかになりました。
まだ完全には解明されていない筋肉痛のメカニズムですが、私の実体験からもエキセントリック運動が大きく関与しているのは間違いなさそうです。
エキセントリック運動に重点をおいた「ストレッチ種目」は筋肥大を起こしやすいので、今回紹介したトレーニングは肩を大きくしたい人にとても有効です。
逆三角形の体に必須である三角筋を成長させて、カッコいい身体を作りましょう。
まとめ
- 筋肉痛は筋繊維の損傷により起こる
- ストレッチ種目は筋繊維を損傷させやすく筋肉痛がきやすい
- 肩トレはストレッチ種目が少ないので筋肉痛がきにくい
- 工夫すれば肩でも筋肉痛がくる(実証済み)
最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた!
▽プロテインの飲み方をマスターして筋トレ効果を高めましょう。
-
プロテインの飲み方を徹底解説!メカニズム/摂取量/タイミング/種類の違いを文献から知る
続きを見る