「子供の頃から筋トレをすると身長が止まってしまう」
「筋トレを始めてから身長が縮んだ」
「筋肉隆々の体操選手は身長が小さい」
筋トレは身長を縮めてしまう!という噂をよく耳にしますが、それは本当なのでしょうか。
この記事では、筋トレで身長が縮むと言われているメカニズムと5年間筋トレした私の身長変化をもとに「筋トレと身長の関係」を明らかにしていきます。
この記事を読むと分かること
- 筋トレがもたらす身長への影響
- 成長期の筋トレは身長に関係あるのか
- ウェイトトレーニングを始めて5年間の身長推移
- 筋トレをしつつ身長を縮めない方法
目次
筋トレがもたらす身長への影響
身長に与える筋トレの影響は「物理的影響」と「化学的影響」の二つに分けることができます。
この二つのバランスによって身長が伸びるか伸びないか、はたまた変わらないかが決まります。
筋トレの影響
- 物理的影響:背骨や軟骨への荷重(身長ダウン)
- 化学的影響:成長ホルモンの分泌(身長アップ)
それでは一つ一つ詳しく見ていきましょう。
高重量のトレーニングは身長を縮める
筋トレと一口にいっても色々ありますが、身長を縮めてしまう可能性があるのは「ウェイトトレーニング」です。
自重で行うトレーニングは負荷が低いので、身長を縮めることはないでしょう。
ウェイトトレーニングの中でも立った状態で重いバーベルを扱う種目は身長を縮めるリスクがあります。
例えばスタンディングショルダープレスやスクワットが挙げられます。
人間の体は程度の差はありますが、誰しも歪みを持っています。これらのトレーニングを行うと脊柱を押しつぶす力がかかり、もともとあった歪みが助長されてしまうのです。
特に骨盤が前傾ぎみの人や腰椎が前彎している人は脊柱の湾曲がひどくなり身長が縮む場合があります。
また猫背の人は胸椎後弯が悪化してさらに猫背になってしまいます。
これは大人と子供の両方に共通していえることです。
子供に限って言えば、「軟骨が押し潰される」ことで身長の伸びが抑えられてしまう可能性もあります。
後で詳しく説明しますが、子供の骨は身長を伸ばすために骨の両端が軟骨で出来ています。この軟骨が伸びていくことで身長が伸びるのですが、過度なトレーニングにより軟骨に衝撃を繰り返し与えることで骨の形成が遅れることがあります。
ただ、よほどハードなトレーニングでない限り問題はありません。
高重量トレをすると
- 大人:脊柱の歪みが悪化して身長が縮まる
- 子供:上記に加えて、伸びるはずの骨が伸びなくなる
成長ホルモンは身長を高くする
筋トレが身長を縮めてしまう原因を説明しましたが、実は身長をのばす作用も持っています。
筋トレを行うと様々なホルモンが分泌されることがわかっています。そのホルモンの中に身長に関わる大事なホルモン「成長ホルモン」が含まれています。
成長ホルモンが分泌されると骨の両端にある「軟骨」に入り込み、骨を形成する「骨芽細胞」を刺激します。その結果身長が伸びるのです。
でも残念ながら大人の骨には成長ホルモンが入り込めません。
よって筋トレで身長を伸ばせるのは子供のうちだけということになります。
子供の頃に適切な筋トレを行い、成長ホルモンをたくさん分泌させることができれば身長をのばすことができます。
特に脚、背中といった大きな筋肉を鍛えることで成長ホルモンはたくさん分泌されます。
成長ホルモンと身長の関係
- 大人:関係なし
- 子供:成長ホルモンを多く分泌させれば身長が伸びる
成長期(子供)の筋トレと身長の関係
子供が筋トレすると良い面もあれば悪い面もあると説明しました。
ただ極端にハードな筋トレ以外は身長をのばすのに非常に有効です。次のポイントを意識してトレーニングするといいでしょう。
成長期に身長をのばすトレーニング法
- 重量:自重~中重量
- 鍛える部位:大筋群(脚・背中・胸)
- 頻度:各部位週2回まで
成長ホルモンが身長の伸びを加速させる
成長ホルモンによって子どもの身長が伸びるメカニズムを詳しく見ていきます。
次の図のように、子どもの骨の端っこには「骨端線(こつたんせん)」と言われる骨の隙間のようなものがあります。
(画像引用元:https://zakkan-vivi.com/how-to-growup-height/)
この骨端線周辺は軟骨になっており、ここに成長ホルモンが行き渡ることで骨芽細胞を刺激して、新しい骨が形成されます。
成長期が終わると身長が伸びなくなるのは、骨端線が閉じてしまうからです。次の図は子どもと大人の骨を比較したものです。
(画像引用元:https://zakkan-vivi.com/how-to-growup-height/)
子どもの頃にあった骨端線が閉じてしまっているため、成長ホルモンが入り込むことができません。
こうして大人になることで身長がとまってしまうのです。
つまり身長を伸ばしたいのであれば、成長期が終わるまでに筋トレを習慣化して成長ホルモンをたくさん分泌させることが大切です。
体操選手の身長が小さい理由
「子どもに筋トレをさせると身長が伸びない」という噂にかならず付随してくるのが体操選手の身長が小さい問題です。
確かに体操選手は筋肉隆々で身長が小さい特徴を持っています。
メモ
- 内村航平選手:162cm
- 白井健三選手:163cm
日本人男性の平均身長が170cmなのを考えると確かに身長が低いですね。
ただ筋肉が骨の成長を阻害するという医学的根拠はありません。
それよりもむしろ「体操選手として活躍できる人=身長が低い人」と考えるのが妥当です。
例えばバスケットボール選手やバレーボール選手は身長が大きい人が活躍できますし、競馬やバイクでは身長が小さい人が活躍しやすいです。
体操選手は、全身を使った回転運動が多くあるため、身長が小さいほうが遠心力が小さくすんだり、体重が軽いので疲労がたまりにくかったりします。体操選手は相対的に身長が低いほうが有利な競技なので、トップ選手は身長が低いと考えるのが自然です。
成長期に身長を伸ばす方法
成長期に身長を伸ばすためには筋トレ以外のことも重要になってきます。
身長を決める因子は「遺伝」「睡眠」「栄養」「運動」の4つに分けることができます。
身長を決める因子
- 遺伝:20%
- 睡眠:15%
- 栄養:30%
- 運動:20%
- その他:15%
意外にも遺伝的要素は低いことがお分かり頂けると思います。
これは努力すれば後天的に身長を伸ばすことができることを表しています。
最も重要な栄養については、バランスの良い食事をとるだけでなく、骨を形成するのに必要な4つの栄養素を積極的に摂取しましょう。
骨の形成に必要な栄養素
- カルシウム
- ビタミンD
- リン
- マグネシウム
カルシウムだけ、ビタミンDだけ、など単体では骨を形成することはできません。4つすべて揃うことで骨をスムーズに作ることができます。
現代の食事ではすべてを十分量摂取することは難しいので、マルチビタミン&ミネラルのサプリメントを有効活用しましょう。
睡眠は少なくても多すぎてもダメです。
だいたい6~8時間の間に入るように睡眠時間を確保してください。
5年間筋トレをした結果
実際筋トレをするとどうなったのかを経験をもとにお話しします。
私は筋トレ歴5年で、妻は筋トレ歴3年になります。お互いに週2~3回のウェイトトレーニングを行っています。
トレーニング内容は高重量を使った全身トレです。もちろん脚トレも行っています。
前提条件
- 筋トレ頻度:週2~3回
- 種目:Big3(ベンチプレス、スクワット、デッドリフト)+補助種目
- 通常最大重量(SASAMI):115kg、100kg、165kg
- 通常最大重量(OMOCHI):35kg、40kg、60kg
通常最大重量と書いているのは、MAX重量という意味ではなく、普段のトレーニングで扱っている最大重量のことです。
それでは結果を見ていきましょう。
私と妻では筋トレを始めてからの身長変化が全く違う結果になりました。
これは個人差なのか性別による違いなのかははっきりしていません。
ただ確実にいえるのは、男性の方がトレーニングで扱う重量が重いので、その分関節への負担は大きくなります。またもともと身長が長い分、脊柱も長いため、少しのゆがみで大きな身長変化になってしまいます。
私の場合、筋トレを始めて2年間はあまり綺麗ではないフォームでトレーニングをしたり、無理やり高重量に挑戦していた影響もあって身長が縮んでしまったのだと思います。
3年目以降もトレーニングで扱う重量は伸び続けているにも関わらず、身長の低下がおさまったので、やはり正しいフォームでトレーニングを行うことは重要だと思います。また3年目以降は後述するフォームローラーを取り入れたのも良かったのだと思っています。
妻の場合は初心者のころから、私がトレーナーとして指導してきたので、正しいフォームを習得するのが早かったです。またフォームローラーも毎日のように使用しているので、身長が縮んでしまう要因は限りなく少なかったです。
筋トレをしても身長を縮めない方法
筋トレをしたら身長が縮んでしまうなんて悲しすぎるますし、できれば避けたいですよね。
そこで身長が縮むメカニズムと私の経験に基づいた「身長を縮めない方法」をご紹介します。
筋トレで身長が縮まない方法
- スタンディングで行う高重量トレーニングを避ける
- 正しいフォームでトレーニングを行う
- フォームローラーで筋肉の緊張をほぐす
- 骨の形成に必要な栄養素を十分摂取する
スタンディング種目に要注意
根本的な原因である「高重量による脊柱への負荷」を減らすために、スタンディングで行う高重量トレーニングは避けましょう。
ショルダープレスなら、スタンディングではなくインクラインベンチ台を使用することで脊柱にもろに負荷がのるのを避けられます。
一方、同じくスタンディング種目であるスクワットは脊柱への負荷を避けることができません。そこでスクワットの場合は正しいフォームを身につけることから始めましょう。
初心者に多いのが上半身が傾いてしまっているフォームです。
このフォームでは脊柱が潰れるのではなく、脊柱をへし折る方向で負荷がかかってしまいます。これでは歪みは増していくばかりなので、なるべく上半身を床と垂直に近づけるフォームに改善しましょう。
フォームローラーで筋肉の緊張をほぐす
筋トレをしながら、筋肉をほぐして柔らかくすることで身体のゆがみを改善することができます。
筋膜と筋肉がくっついてしまうと可動域がせまくなってしまい、結果として悪いフォームになってしまいがちです。
また血の流れがわるい箇所ができてしまうと筋力が弱まり、その分他の筋肉が補うことになります。こうなると一方の筋肉は弱まって、もう一方の筋肉はどんどん鍛えられていくので、バランスの悪い体になってしまいます。
バランスが崩れれば当然体は歪むので、身長が縮んでしまう原因になります。
筋膜リリースと血行改善を同時に行ってくれるのが「フォームローラー」です。
フォームローラーは従来からあるストレッチポールと違って、密着している筋肉と筋膜を剥がす効果があります。
筋トレ前や後にフォームローラーで筋肉をほぐしてあげることで、体がもっと効率よく動かせるようになります。
筋膜をリリースすることで、筋肉が大きくなれるスペースができ、筋肥大しやすくなるという話もあるので、筋トレしている人は持っておいて損はありません。
筋トレが身長に及ぼす影響まとめ
長々と説明してきましたが、要点をまとめると次のようになります。
まとめ
- 間違った方法で行う筋トレは身長を縮める可能性がある
- 実際に筋トレを始めてから身長が縮んだが、フォーム改善とフォームローラーの使用で身長の低下を抑えることができた
- 成長期の筋トレはむしろ身長を伸ばしてくれる
- 骨の形成に必要な栄養素はマルチビタミン&ミネラルから摂るのが効率的
さらにさらに簡略化すると、次の3つさえ押さえることができれば身長の低下を最小限に抑えることができます。
- 正しいフォーム
- フォームローラー
- マルチビタミン&ミネラル
楽しいはずの筋トレが身長の低下によって楽しめないなんてことにならないように上記の3つを守ってトレーニングしてみて下さい。
それではまた!