筋トレを行うと翌日に強い疲労感を感じませんか?
こちらの記事でお話しした通り、筋トレを行う際は適切な疲労回復方法を取らなければいけません。
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この中で睡眠について少し触れましたが、実は睡眠は疲労だけでなく、筋肉量とも深い関係があります。
本日は筋肉と睡眠の関係を最新の研究例を上げながら説明した上で、良質な睡眠をとる方法を学んでいただこうと思います。
目次
筋トレに睡眠が大切な理由
筋肉のエネルギー源であるグリコーゲンを筋肉に蓄積する
グルコースは体内に貯蓄されて、エネルギーとなる糖質の一種です。
このグルコースは体がエネルギーを作り出すために分解できる唯一の糖質です。私たちが食事から摂取する糖質は分解・吸収されるときにグルコースとなります。
そして筋トレのような爆発的な運動を行うときに、このグルコースが使用されます。
グルコースは体内で血液・肝臓・筋肉の3箇所に貯蓄されますが、筋肉内に蓄えられたグルコース(グリコーゲンと呼ぶ)は血液に存在するグルコースよりも多くのエネルギーを生み出すため、グリコーゲンが十分蓄えられた状態で筋トレをするのが望ましいです。
そしてこのグリコーゲンを筋肉内に蓄えてくれるのが「睡眠」です。
1日の食事でしっかりと炭水化物を摂取し、十分な睡眠をとることで、筋肉内にグリコーゲンが蓄積され、筋トレで最大限のパフォーマンスを発揮することができます。
ポイント
成長ホルモンを分泌する
「たくさん寝ると身長が大きくなる」
こどもの頃にこんな話を聞いたことはないでしょうか。これは睡眠中に分泌される「成長ホルモン」が身長を伸ばすのに役に立つからです。
この成長ホルモンは子供の成長だけでなく、筋肉を増やすのにも大事なホルモンです。
成長ホルモンは筋肉の回復と成長を促すホルモンです。
私たちが食事やプロテインから摂取するタンパク質は体内でアミノ酸に分解され、そのアミノ酸が再びタンパク質となり筋肉になります。
成長ホルモンは、アミノ酸から筋タンパク質を合成するのを助ける効果があります。
睡眠前に血中アミノ酸濃度を高め、睡眠時間を十分とることで、寝ている間に多くの筋肉が合成されます。
ポイント
睡眠時間が減ると、筋肉量が減る
睡眠が筋肉にとって大事なものということは、逆を返せば睡眠不足は筋肉にとって悪影響ってことになります。
実は睡眠時間が減ると、筋肉量が減るといった衝撃的な研究報告があります。
2011年に行われた研究で、睡眠不足が筋肉の増加と回復にどのような影響を与えるかが調査されました。
被験者は下記の2グループに分けられ、両グループともに同じカロリー制限食を摂取しました。
- 5.5時間睡眠をとるグループ
- 8.5時間睡眠をとるグループ
調査が終了した時点で両グループの体重減少量に差はなかったものの、脂肪量と筋肉量に大きな差がありました。
- 8.5時間睡眠の方が筋肉の減少量が60%少ない
- 8.5時間睡眠の方が脂肪の減少量が55%高い
これは睡眠時間の差によってホルモンの作用が変わるからだと考えられます。
テストステロンをはじめとした筋肉を合成するホルモン(アナボリックホルモン)とミオスタチンのような筋肉を分解するホルモン(カタボリックホルモン)のバランスにより筋肉量が変化します。
睡眠時間を短くすると、アナボリックホルモンが減少し、カタボリックホルモンが増加するために、筋肉がより多く減ったのです。
図は論文を参考に筆者が書き加えたもの(元論文)
十分な睡眠をとらないと筋肉が増えないだけでなく、減ってしまう可能性もあることを覚えておきましょう。
ポイント
睡眠時間が減ると、脂肪がつきやすくなる
睡眠の質とダイエットは深い関係があることが近年の研究から明らかになっています。
睡眠をしっかりとったときに分泌される成長ホルモンは筋肉を増やすだけでなく脂肪を分解する効果もあります。
また満腹信号をだし、食べ過ぎを抑えてくれる「レプチン」というホルモンも睡眠をしっかりとることで分泌されます。
筋肉をつけて脂肪が少ない体がボディメイクでは重要ですよね。
きちんと睡眠をとって体脂肪を減らしつつ、筋肉を増やしましょう。
ポイント
適切な睡眠時間
適切な睡眠時間は約8時間です。若干前後しても問題はないので、7時間~8時間の睡眠を心がけるようにしてください。
これより多すぎても少なすぎても良くありません。
多過ぎる場合は、1日の活動レベルが下がるだけでなく、頭がぼーっとしてやる気が起きないといった現象が起きてしまいます。
少ない場合はさきほどお話した通り、筋肉の分解がおきやすくなってしまうので要注意です。
また睡眠時間帯も大事で、午後10時~午前2時の間に睡眠をとることで多くの成長ホルモンが分泌されます。
なかなか夜10時に寝るのは難しいですが、遅くとも深夜0時には就寝するようにしましょう。
睡眠の質を高める食事法
しっかり8時間寝ているのに、起きた時に体がだるい、夜中に起きてしまうなど良質な睡眠を取れていない方は食生活の乱れが大きな原因であることが多いです。
下記方法で睡眠の質を高めましょう。
朝・昼・夕の食事量を変える
寝つきが悪いと感じる人の多くが、1日の食事バランスが崩れています。
特に夕食を多めに食べている方は要注意です。夕食を食べ過ぎたり消化の悪いものを食べると、胃腸が活発に動くため、それをコントロールする脳が休むことができません。そのため知らず知らずのうちにストレスを溜め込み、睡眠障害を引き起こしてしまいます。
朝・昼・夕の最適な食事バランスは、
「朝:昼:夕=2:3:1」
になります。
朝ごはんは脳と消化器官を活性化させるのに必要な食事です。
お昼ご飯は1日の活動エネルギーをまかなうために一日の中で一番しっかり食べてください。
夜ご飯は睡眠に直接関わってくる食事ですので、なるべく量を少なめにします。慣れないうちは物足りなさや空腹感を感じてしまうと思うので、消化のいいホエイプロテインを飲んで調整してください。
ポイント
夕食に最適な食事
夕食は1日の中で最も少ない量を食べてくださいと言いましたが、その中身も注意する必要があります。
まず食物繊維と脂質は夜ご飯時にあまり取らないようにしましょう。
食物繊維や脂肪は胃の中に滞在する時間が長く、消化に時間がかかってしまいます。これは睡眠を妨害してしまうので、これらの栄養素はなるべく日中に摂取するようにしましょう。
一方、炭水化物はストレスを和らげ安眠へと導いてくれるので積極的に摂取するようにしてください。
次にトリプトファンを多く含む食材を夕食に取り入れてください。
必須アミノ酸のトリプトファンは睡眠の質を上げてくれるホルモン(メラトニン)や神経伝達物質(セロトニン)の合成に使用されます。
トリプトファンは催眠剤や鎮痛剤に用いられることがあるほど、精神を安定させ催眠効果のある物質です。
トリプトファンを多く含む食材は下記を参考にしてください。
トリプトファンを多く含む食材
- レバー(牛・豚・鶏)
- 大豆
- 小麦胚芽
- そば
- パスタ
- 牛乳
なおトリプトファンが脳内に作用するには一緒に糖質を摂取する必要があるので、夕飯時に上記の食材と合わせて糖質もしっかり摂取するようにしましょう。
ポイント
- 夕食にトリプトファンを多く含む食材を使用する
- 夕食時は食物繊維と脂質をなるべく避ける
筋トレと睡眠の関係まとめ
最後に、本日お話したことを整理しておさらいしましょう。
筋トレと睡眠には深い関係が有り、筋肉を成長されるには十分な睡眠時間が必要不可欠です。
筋トレに睡眠が必要な理由
- 筋グリコーゲンは睡眠中に蓄積されるから
- 筋肉増強に必要な成長ホルモンの分泌が促進されるから
- 睡眠時間が減ると筋肉を分解するホルモンが活性化してしまうから
- 睡眠時間が減ると脂肪をつきにくくするホルモンが減ってしまうから
最適な睡眠を得る方法
- 8時間睡眠を心がける
- 朝・昼・夕の食事量を2:3:1にする
- トリプトファンを含む食材をたくさん食べる
以上のことに気をつけて良質な睡眠を取りましょう。
それではまた!
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