「筋トレ後の食事は高タンパク・低脂質・高炭水化物がベスト」
以前の記事で、筋トレ後の食事で脂質を摂るべきではないとお話しました。
筋トレ後の理想的な食事メニューを解説【高タンパク・低脂質・高炭水化物】
これは間違いではないのですが、実は最近の研究では脂質をたっぷり含んだ「牛乳」が疲労回復に適している可能性があるとわかってきました。疲労回復だけにとどまらず、筋肥大にも有効かもしれません。
なぜ牛乳が疲労回復・筋肥大に効果的なのかエビデンスを元に詳しく説明していきます。
この記事を読むと分かること
- 筋トレ後の食事で摂取したい栄養素
- インスリン分泌が筋トレにもたらす効果
- 牛乳の効果
筋トレ後に必要な栄養素
筋トレ後に必要な栄養素は「タンパク質」と「糖質」の二つです。
タンパク質は筋肉の材料となり、糖質は運動によって枯渇した筋グリコーゲンを回復させる役割を果たします。
筋トレ後に必要な栄養素
- タンパク質
- 糖質(炭水化物)
筋肥大や疲労回復にとって、とりわけ重要になるのが「インスリンの分泌」です。
インスリンは「血糖値を下げるホルモン」です。
食事をすると、栄養素が血液中に流れこみ血糖値が上がります。血糖値が上がるとインスリンが分泌されて、糖分を筋肉や脂肪、肝臓に送り込むことで血液中の糖分が減ります。
つまりインスリンは、血液中の糖分を体の色々な場所に運ぶ役割を果たしています。
また「糖分を運ぶ役割」だけでなく「アミノ酸を運ぶ役割」も持っています。
筋トレ後は最も筋タンパク合成が活発に行われる時間帯なので、筋肉の材料であるタンパク質を摂取するとともに、インスリンを分泌させて、材料を筋肉に運ぶことが大切です。
インスリンの役割
- 血糖値を下げるホルモン
- 糖分やアミノ酸を全身に運ぶ役割をもつ
脂質摂取はインスリン分泌を穏やかにする
筋トレ後はインスリン分泌を多くしたいのですが、脂質は糖の吸収を遅らせるため、血糖値の上昇をゆるやかにしてしまいます。
その結果、血中のインスリンレベルが下がってしまい、筋肉へアミノ酸が運ばれる量が減ってしまいます。
今回説明する「牛乳」を除く、高脂肪食材はこういった理由から避けるべきなのです。
牛乳はインスリン分泌を高める
ここでいう牛乳は低脂肪乳などの高タンパク・低脂質な乳製品ではなく、脂質が多く含まれている牛乳のことです。
実は最近の研究で、脂質と糖質を一緒に摂取すると消化管ホルモン(GIP)やインスリンの分泌が促進されることが分かってきました。
しかし脂質は先ほど説明した通り、糖の吸収おだやかにしてしまうので、実際には上記の効果を打ち消してしまいます。
そこで有効なのが「牛乳として脂質を摂取すること」です。
牛乳として脂質をとることで次のメリットがあります。
牛乳の効果
- インスリン分泌を高め、筋肥大・疲労回復を促進する
- 乳化した脂質なので、吸収が速い
乳化された脂質は吸収が速い
牛乳は乳化された脂質(=乳脂)なので、脂質の弱点である吸収の遅さをカバーできます。
脂質の摂取でインスリン分泌が旺盛になったと報告した研究でも、脂質は乳化剤を使って乳化して、消化・吸収されやすい状態を作っています。
私たちが普段の食事で脂質を乳化させることは難しいので、すでに乳化済みの「牛乳」が効果的です。
運動後の牛乳に関するエビデンス
30分間のトレッドミル運動を行ったマウスに対して、「糖質」または「糖質+牛乳の混合物」を与えた研究があります。[1]
こちらがインスリンレベルを比較したグラフです。
糖質だけを摂取したマウスに対して、牛乳混合物を摂取したマウスは、インスリンレベルが2倍以上に高まっていることが分かります。
これは吸収の早い牛乳がGIPを刺激し、インスリン分泌が促進したからだと考えられます。
こちらは食事後の筋グリコーゲン濃度を比較したグラフです。
当然ながら、インスリン分泌が高かった「糖質+牛乳」の方が筋グリコーゲン量が多くなっていることが分かります。
残念ながらこの研究は筋タンパク合成について調査はしていませんが、インスリン分泌が高まっていることから、筋合成も活発化している可能性が高いです。さらなる研究を待ちましょう。
筋トレ後は牛乳を使った食事をとろう
牛乳単体でも、もちろんOKですが、牛乳を使った食事でも良いです。
私が好んで作っている牛乳料理は次のようなものがあります。
牛乳料理の一例
- カルボナーラ
- シチュー
- アイスクリーム
アイスクリームも乳化した脂質が含まれているので、高タンパクな食事のデザートにアイスクリームをプラスしてもいいでしょう。
筋トレ後は牛乳で効果を高めましょう。
まとめ
- インスリン分泌は「疲労回復」と「筋肥大」に効く
- 脂質はインスリン分泌を高める
- 牛乳は吸収が速いので、インスリン分泌効果が高い
最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた!
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参考文献
[1]Co-ingestion of milk and glucose promotes post-exercise glycogen resynthesis in mouse skeletal muscle and liver