筋トレをする上で必ず必要になる「タンパク質」
たんぱく質というと「良質なタンパク質」という言葉をよく見かけます。
この良質なタンパク質とはいったいどういうことなのでしょうか。
また悪質なタンパク質なんてものはあるのでしょうか。
実は良質か否かはタンパク質の中身で決まるのです。
この記事では良質なタンパク質の指標と具体例について説明していきます。
この記事を読むと分かること
- アミノ酸スコアとは何か
- DIAAS(消化性必須アミノ酸)とは何か
- 食品ごとのタンパク質の”質”
目次
タンパク質とは
そもそもタンパク質は20種類のアミノ酸によって構成されています。
20種類のアミノ酸の中でもとりわけ大事なのが「必須アミノ酸」と呼ばれる9種類のアミノ酸です。
アミノ酸の中には体内で合成できるものとできないものがあり、それぞれ「必須アミノ酸」「非必須アミノ酸」と呼ばれます。
アミノ酸の種類
- 必須アミノ酸:体内で合成できない9種類のアミノ酸
- 非必須アミノ酸:体内で合成できる11種類のアミノ酸
筋肉を合成するアミノ酸
筋肉を合成するためには必須アミノ酸が必ず必要になります。
そして9種類全てがバランス良く揃っていないといけません。
どれか1つでも欠けているアミノ酸があると、他のアミノ酸がどれだけたくさんあっても、筋合成は制限されてしまうのです。
アミノ酸スコア
必須アミノ酸がバランス良く含まれているかどうかを見分けるためには、必須アミノ酸の含有率を数値化した「アミノ酸スコア」を使うのが手っ取り早いです。
アミノ酸スコアは、WHOの名称で知られる世界保健機構でも認められている世界的な指標です。
9種類の必須アミノ酸がバランス良く含まれていて筋タンパク質の合成にしっかり使われるものは「アミノ酸スコア100」になります。
100未満のものは、9種類のうちどれかが基準値以下になっていることを表しています。
アミノ酸スコアの考え方
アミノ酸スコアを分かりやすくするために「桶」を使って説明します。
まず9種類の板で作られた桶を想像してください。
(引用元:国立スポーツ科学センターHP)
桶に水を溜めるとき、桶を構成する板のうち一つでも背が低いと、そこから水が溢れ出てしまいます。
一つ一つの板を各必須アミノ酸だと考えてください。
どれか一つでも必須アミノ酸が少ないと、そこに合わせて他のアミノ酸も体内で活用されなくなってしまうのです。
体内で活用されないタンパク質は窒素化合物になり、老廃物として排泄されます。
腎機能が低下している場合は老廃物が蓄積されて尿毒症を引き起こす可能性もあります。
代表的な食品のアミノ酸スコア一覧
私たちがよく口にする食品のアミノ酸スコアを見ていきましょう。
大分類 | 小分類 | アミノ酸スコア |
米・穀物 | 精白米 | 65 |
玄米 | 68 | |
食パン | 44 | |
小麦粉 | 44 | |
豆類 | 落花生 | 62 |
ごま | 50 | |
アーモンド | 50 | |
大豆 | 100 | |
魚介類 | あじ | 100 |
さけ | 100 | |
マグロ | 100 | |
たら | 100 | |
肉類 | 鶏肉 | 100 |
牛肉 | 100 | |
豚肉 | 100 | |
卵・乳製品 | 牛乳 | 100 |
鶏卵 | 100 | |
野菜 | ブロッコリー | 80 |
アスパラガス | 68 | |
にんじん | 55 | |
プロテイン | ホエイ | 100 |
カゼイン | 100 | |
ソイ | 100 |
この表をみると、魚や肉、卵などの動物性食品はアミノ酸スコアが100なのに対して、植物性食品は100を下回っているものが多いです。
特に白米や小麦粉はアミノ酸スコアが非常に低いです。
パスタはたんぱく質量が多く、高タンパク質な食品として扱われることもあります。しかしアミノ酸スコアは非常に低いため、筋肉の合成を考えるとあまりいい食品ではありません。
良質なタンパク質の判断基準
- アミノ酸スコアが100:良質なタンパク質
- アミノ酸スコアが100未満:いまいちなタンパク質
例えば白米は必須アミノ酸リジンが少ないため、これが原因となり、アミノ酸スコアが下がっています。
白米と一緒にアミノ酸スコア100の肉類や魚類を食べると、リジンが補われて、白米単体で食べるよりも、体内での利用率が上がります。
このように、1食でなるべくたくさんの品目を食べることは「タンパク質の利用率を上げる」ことになります。
更に進化したアミノ酸スコアDIAAS
先ほどお見せした食品のアミノ酸スコアをみると、動物性のほとんどが100になっています。
ではほとんどの食品が良質なタンパク質なのでしょうか。
私はアミノ酸スコアが100の中でも優劣があると考えています。
そこで紹介したいのが「DIAAS(消化性必須アミノ酸)」です。
DIAASは今までのアミノ酸スコアにプラスして「実際に消化されて体内で利用される割合」を考慮した指標になります。
アミノ酸スコアの中では最も最新の指標です。
消化性アミノ酸スコアDIAAS一覧
具体的な食品のDIAASがこちらになります。
大分類 | 小分類 | DIAAS |
卵・乳製品 | 牛乳 | 1.15 |
鶏卵 | 1.15 | |
プロテイン | ホエイ | 1.09 |
カゼイン | - | |
全乳 | 1.18 | |
大豆(ソイ) | 0.91 | |
小麦 | 0.38 | |
エンドウ豆(ピー) | 0.82 | |
肉類 | 牛肉 | 1.12 |
豚肉 | 1.14 | |
鶏肉 | 1.08 | |
コラーゲン | 0.00 | |
豆類 | アーモンド | 0.40 |
豆腐 | 0.52 | |
穀物 | 精白米 | 0.59 |
アミノ酸スコアで100を下回っていた「植物性タンパク質」はDIAASでも低いスコアになっています。
一方すべて100点満点になっていた「動物性タンパク質」はその種類によって値が大きく異なっています。
お肉の中でも「豚肉>牛肉>鶏肉」の順でDIAASが大きくなっています。
筋トレというと鶏むね肉がイメージされますが、実際は豚肉や牛肉の方が良質なタンパク質ということになります。
またプロテインはソイがいいのかホエイがいいのか議論になることがありますが、タンパク質の”質”という観点からいうとホエイに軍配が上がります。
また最近はコンビニやスーパーで簡単に手に入るようになった「ミルクプロテイン(全乳プロテイン)」はDIAASが最高値になっています。
このようにDIAASを見ると、今までよくわかっていなかったタンパク質の優劣を瞬時に判断できるのです。
タンパク質の優劣
- お肉:豚肉>牛肉>鶏肉
- プロテイン:全乳>ホエイ>ソイ
- 穀物:白米>小麦
良質なタンパク質を意識して摂取しよう
タンパク質の量は気にしても、質は気にしてこなかった方がほとんどだと思います。
タンパク質に関してはたしかに「質より量」ですが、より早く筋肉をつけたい方には”質”も大切になります。
特に今まで「ソイプロテインを飲んでいた人」や「小麦などの植物性タンパク質をメインにしていた人」は動物性タンパク質も取り入れると良いでしょう。
まとめ
- 良質なタンパク質はアミノ酸スコアが100の食品のこと
- DIAASを使えばタンパク質に優劣をつけることができる
- 植物性よりも動物性タンパク質の方が体内利用率が高い
- プロテインは「全乳>ホエイ>ソイ」
- アミノ酸スコアが低い食品を食べるときはアミノ酸スコアが高い食品と一緒に食べる
最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた!
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