過去の記事でしつこいくらい言っていますが、筋トレで成果を出していくためには、常に新しい刺激を筋肉に与える必要があります。
そこで一番大事なのは、「漸進性過負荷の原則」の通り、重量を少しずつ増やしていくことですが、それだけではどうしても停滞期が訪れてしまいます。
今回ご紹介する「スーパーセット法」は重量やセット数、レップ数を変えるのではなく、トレーニングそのものを大きく変えて新しい刺激を与える方法になります。
最近、思うように筋肉・筋力が増えないという方は試してみて下さい。
目次
スーパーセット法とは
通常のトレーニングでは、一つの種目に対してインターバルを挟みながら連続してトレーニングを行いますが、それに対して、二つの異なる種目をインターバルなしで連続して行うトレーニング方法を「スーパーセット」と呼びます。
この二つの種目は好きに選んでいいわけではなく、拮抗筋同士を組み合わせる必要があります。
拮抗筋とは?
ある筋肉を動かす際に反対の動きをする筋肉のこと
例)上腕二頭筋⇔上腕三頭筋
大胸筋⇔広背筋、大円筋
三角筋(前部)⇔三角筋(後部)
例えば、「ダンベルアームカール(上腕二頭筋)」をやった後すぐに「スカルクラッシャー(上腕三頭筋)」を行うのがスーパーセットです。
似たようなトレーニングで、「ダンベルアームカール(上腕二頭筋)」をやった後すぐに「ケーブルアームカール(上腕二頭筋)」を行うような同一部位を連続して行う方法はコンパウンドセットと言います。
前者は拮抗筋同士を連続して鍛えるスーパーセットで、後者は同一部位を連続して鍛えるコンパウンドセットです。
間違った例として、ベンチプレス(大胸筋)をやった後に、スクワット(大腿四頭筋)をやってもそれはスーパーセットとは言いません。
ただ単にベンチプレスをやった後に、スクワットをやっただけでそれは筋肉に対して何も新しい刺激にはならないので注意して下さい。
スーパーセットとコンパウンドセットの違い
- スーパーセット:拮抗筋同士をインターバルなしで連続で鍛えるトレーニング方法
- コンパウンドセット:同一部位をインターバルなしで連続で鍛えるトレーニング方法
スーパーセットのメリット・デメリット
スーパーセットのメリット
スーパーセットのメリットは3つあります。
スーパーセットのメリット
- 短時間インターバルなので、トレーニング時間が短くなる
- トレーニング効率が上がる
- 心肺機能を鍛えることができる
スーパーセットは1分未満の短時間インターバルで行うので、通常筋肥大に効果的とされる3分インターバルよりもトレーニング時間がかなり短くなります。
トレーニング後に予定があるときでも短時間で筋肉を追い込むことができるのは大きなメリットになります。
短時間インターバルだとトレーニング効率が落ちるのではないかと懸念する方も多いと思います。しかしスーパーセットの場合は拮抗筋同士を組み合わせるので短時間でもトレーニングの質が落ちることはありません。
これは「相反神経支配」による回復促進効果のおかげです。
相反神経支配とは?
相反神経支配とは、主動筋(ターゲット部位)が収縮するときに、拮抗筋がリラックスするメカニズムのこと。
リラックスすることにより血流がよくなり、疲労物質を素早く除去できるため、短時間インターバルでも追い込むことができる。
例えば、上腕二頭筋を鍛えている時は、拮抗筋の上腕三頭筋がリラックスするので上腕三頭筋の回復が促進されます。それ故に、その後すぐに上腕三頭筋のトレーニングに移っても全力が出せるのです。
またスーパーセットは短時間のインターバルで次々とセットを行っていくので、心拍数が高い状態が続きます。
普通筋トレでは有酸素運動ほど心肺機能を高めることが出来ませんが、スーパーセットなら心肺機能を大きく改善してくれます。
最近はやりのサーキットトレーニングはほとんどインターバルをとらないスーパーセットに近いトレーニング方法ですが、これはランニング等の有酸素運動と比べて同等もしくはそれ以上に心肺機能を向上する効果があります。
心肺機能の改善は、高強度トレーニングの質を高めるだけでなく、健康にもつながるので、ふだん有酸素運動をしない方は是非取り入れて下さい。
スーパーセットのデメリット
スーパーセットは良いことだけでなく、デメリットもあります。筋トレの効果を最大限高めるためにも、デメリットをしっかり理解した上で自分のトレーニングに入れ込むようにして下さい。
スーパーセットのデメリット
- 種目の組み方によってはトレーニングの質が落ちる
- ジムで行う場合はできる種目に制限がある
まず一番注意してほしいのが、スーパーセットによってトレーニングの質が落ちる可能性があることです。
スーパーセットのメリットのところで説明したように、短時間インターバルで行うため、心拍数が常に高い状態になります。
高強度トレーニング、例えばベンチプレスと懸垂のようなスーパーセットを組んだ場合は、特に息が上がりやすく、短時間のインターバルでは心拍がどんどん上がっていってしまいます。
心拍数が上がると、何でもない重量でも重く感じたりレップ数が極端に少なくなってしまいます。この重く感じる理由は筋肉が疲弊しているのではなく、単純に脳が歯止めをかけているだけです。
こんな状態でトレーニングを行っても、筋肥大にはつながらず、時間と体力を無駄にしているだけになってしまいます。
私の経験では、大胸筋・背中・脚と言った大筋群はスーパーセットに向いておらず、むしろトレーニングの質を下げる危険が高いです。
腕や肩(三角筋)は動作に関与する筋肉が少なく、短時間のインターバルでも十分追い込むことができるので、まずはこの2部位から挑戦してみて下さい。
どうしても大筋群のトレーニングにスーパーセットを取り入れたいという方は、短時間インターバルにこだわらず心拍数が落ち着いたら次のセットに行く方法にしてみるといいでしょう。
デメリットの二つ目がジムだと複数の器具を占領することになるので、他の人の迷惑になってしまうことです。
例えば、ベンチプレスとラットプルダウンのスーパーセットを組む場合は、ベンチ台とラットプルマシンの二つを占領することになり、よほど空いているジムでない限り、マナー違反になってしまいます。
この場合は、一つのベンチ台でできるダンベルベンチプレスとダンベルローイングのスーパーセットにするなどして対応しましょう。
大筋群の場合はバーベルやマシンを使って鍛えることが多いので、できる種目に制限がかかってしまうのは非常に残念なところです。スーパーセットをやるためにやりたい種目ができないのは本末転倒ですよね。
私が推奨している腕と三角筋はダンベルを使ってできる種目がメインになるので、普段行っている種目をそのままスーパーセットにすることができます。
この点からもスーパーセットには腕と三角筋が向いていると言えそうです。
スーパーセットの注意点
- インターバルが短くてもトレーニングの質が落ちない腕や肩でスーパーセットを行う
- 大筋群で行いたい場合はインターバルを長めにして、心拍数を落ち着かせる
- 複数器具を占領しないように種目を考える必要がある
スーパーセットのやり方
スーパーセットについて正しく理解した上で、次はやり方について学んでいきましょう。
スーパーセットのやり方
A:主動筋トレ、B:拮抗筋トレ
- AとBそれぞれ10レップスが限界になる重さで準備する
- Aを10回行う(1セット目)
- すぐにBを10回行う(1セット目)
- 30秒インターバルをとって息を整える(1セット目)
- Aを限界回数行う(2セット目)
- すぐにBを限界回数行う(2セット目)
- 30秒インターバルをとって息を整える(2セット目)
- Aを限界回数行う(3セット目)
- すぐにBを限界回数行う(3セット目)
主動筋トレと拮抗筋トレはインターバルなしで連続して行います。これを1セットとして計3セット行いましょう。
またセット間は30秒間だけインターバルをとり、息を整えましょう。
スーパーセットの場合はトレーニングそのものがきついため、軽い重量でやってしまいたくなりますが、それでは単にトレーニング強度を下げているだけになってしまうため、通常のセットと同じくらいの重量で行うことを心がけて下さい。
結果として普通のトレーニングよりレップ数が下がるのは問題ないです。短時間で強烈に化学的刺激を与えることができれば筋肥大は間違いなく起こります。
おすすめスーパーセット例
腕のスーパーセット
上腕三頭筋×上腕二頭筋のスーパーセット
- 「ケーブルプッシュダウン」⇔「ケーブルハンマーカール」
- 「EZバーカール」⇔「EZバースカルクラッシャー」
- 「フレンチプレス」⇔「ダンベルアームカール」
腕のスーパーセットはバリエーション豊富なので、毎回違うスーパーセットに取り組んでみると面白いかもしれません。
私は上記の3つを器具の空き状況を見ながら臨機応変に行っています。
三角筋のスーパーセット
三角筋前部×三角筋中部×三角筋後部のスーパーセット
- 「フロントレイズ」⇔「サイドレイズ」⇔「リアレイズ」
- 「ケーブルサイドレイズ」⇔「フェイスプル」
肩は前部・中部・後部と3部位に分けられるので、この三つをまとめてスーパーセットにするやり方もあります。
ダンベルだけで行えるレイズ種目を3つ行ったり、ケーブルでいつもと違った刺激を与えるのもありでしょう。
3種目やる場合は、最後の種目があまり追い込めなくなるので、集中的に鍛えたい部位を一種目目にもってくるといいでしょう。
肩は後部が弱い人が多いので、リアレイズやフェイスプルを1種目目にもってくるのが私のおすすめです。
最後に
今回はいつもと違った刺激を筋肉に与えるスーパーセット法を解説しました。
このトレーニングはこんな方に特におすすめです。
スーパーセットが向いている人
- トレーニングに割く時間が限られている
- いつものトレーニングに飽きてきた
- 停滞期に陥っている
上手にスーパーセットを活用して、更なる筋肥大を目指しましょう。
それではまた!
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