トレーニングには必須ともいえるプロテインですが、飲み方をきちんと理解している人は実は少ないんじゃないかと思います。
などなど疑問が絶えませんでした。
この記事では筋合成に関するエビデンスを紹介しながら、プロテインの効果的な摂取方法について考察していきます。
この記事を読むと分かること
- タンパク質摂取が筋肉を大きくするメカニズム
- プロテインを飲むタイミングと筋合成の関係
- 最適なプロテインを飲む頻度と一回あたりの量
- 効果的なプロテインスケジュール
目次
タンパク質摂取と筋合成
筋肉の元となる筋タンパク質は常に分解・合成を繰り返しています。
基本的にはこのバランスは一定に保たれているので、私たち体の筋肉量はあまり変化しません。
筋肉量を増やすためには、たんぱく質の分解・合成のバランスを崩し、筋タンパク質が合成する方向にしてあげる必要があります。
方法は「筋肉の分解を抑制する」「筋肉の合成を促進する」の二つがあります。
もちろん分解を抑制して合成を促進できれば、相乗効果で筋肉を一気に増やすことができます。
筋トレ後はタンパク質の摂取により、筋合成が活発化されることが分かっています。
またトレーニング後はストレスホルモン(=コルチゾール)の分泌や筋グリコーゲンの枯渇により、筋肉の分解が起きやすくなっています。しかしトレーニング後に十分な量のタンパク質を摂取することで、筋肉が分解される前に、摂取したタンパク質が分解されるようになります。
筋トレ後にタンパク質を摂取すると、筋分解を抑え、筋合成を促進するため、筋合成速度が大幅に高めることができます。
筋トレ後に十分なタンパク質を摂取することはボディメイクにとって最も大切なことなのです。
筋トレ後のタンパク質摂取タイミング
筋トレ後に最適なタンパク質の摂取タイミングはこちらの通りになります。
タンパク質の最適摂取タイミング
- 筋トレ直後(ゴールデンタイム)
- 筋トレ後24時間以内
- 就寝前(カゼインプロテイン)
それぞれの摂取タイミングに関してエビデンスをもとに説明していきます。
トレーニング直後のプロテイン摂取(ゴールデンタイム)
トレーニング直後のタンパク質摂取は非常に効果的なことから、ゴールデンタイムと呼ばれています。
トレーニングから1時間以内のタンパク質摂取が最も筋合成を高めてくれるので、トレーニング後すぐにプロテインを飲むことを推奨します。
ソイプロテインやカゼインプロテインは吸収に時間がかかるので、ゴールデンタイムを狙うなら、必ずホエイプロテインを選ぶようにして下さい。
▽私が愛用しているのは激安ホエイプロテインのボディウィングです。
筋トレ後24時間以内のタンパク摂取も重要
ゴールデンタイムがプロテイン摂取に最も最適なタイミングであることは先ほど述べた通りですが、実はトレーニングから24時間以内のタンパク質摂取も筋肥大には重要です。
15人の若い男性を対象に、トレーニング後の筋合成速度を調べた研究があります。[1]
この研究では「安静時」と「筋トレから24時間後」の筋合成速度を調べたものです。
結果がこちらのグラフになります。
このグラフから、MAXの90%や30%で限界回数まで追い込んでいれば、トレーニング後24時間のタンパク摂取も筋肥大効果があることが分かります。
一方、MAXの30%で追い込まない場合は、筋合成が活発化しませんでした。
トレーニング強度が高い場合は、トレーニング24時間後のタンパク質摂取も筋肥大に有効ということになります。
トレーニング強度が低い場合は筋肥大効果は短時間で抑えられてしまうこともわかりました。
ゴールデンタイムばかりに目が行きがちですが、筋トレ後24時間以内は頻繁にタンパク質を補給するようにして下さい。
筋トレ前のプロテインは意味がない
筋トレ前の栄養補給として、トレーニング前にプロテインを飲む人は多いのではないでしょうか。
でもこれは間違ったプロテインの飲み方です。
必須アミノ酸と炭水化物の摂取による運動前後での筋合成速度を研究した例があります。[2]
この研究では、22人の健常な被験者を「筋トレ前に何も摂取しない絶食群(11人)」と「運動を開始1時間前に必須アミノ酸と砂糖を含む飲料を摂取したEAA+CHO群(11人)」に分けています。
2つのグループそれぞれについて、「高強度のレジスタンス運動前」「運動中」「運動後2時間」での筋合成速度を比較しています。
次のグラフが研究結果になります。縦軸のFSRは筋合成速度を示しています。
EAA+CHOを摂取した群はトレーニング前に筋合成が高まっていますが、運動中に完全に下がり、運動後は何も摂取していない群と同等の筋合成速度になっていることが分かります。
この研究から、筋トレ前に摂取したプロテインやアミノ酸が筋トレ後の筋肉増大に影響を及ぼすことはないといえます。
就寝前のカゼインプロテインが効果的
ゴールデンタイム以外にも就寝前のプロテイン摂取が筋肥大に有効だと結論付けた研究があります。[3]
44名の若い男性を対象に、12週間トレーニングを行い、就寝前にカゼインプロテイン27.5gを摂取させた研究があります。
その結果、就寝前に水を摂取したグループ(プラセボ群)と比較して、就寝前にカゼインプロテインを摂取した群は明らかに筋肉量が増加する傾向が見られました。
就寝中は断食状態なので体内のタンパク質が枯渇してしまいます。そこで吸収の遅いカゼインプロテインを就寝前に飲むことで体内にタンパク質が残った状態を作れ、筋合成が早まったと考えられます。
ソイプロテインも吸収が遅いので、カゼインの代わりに使用しても良いでしょう。
就寝前にプロテインを摂ることで筋肥大が促進されるので、吸収が遅いソイプロテインやカゼインプロテインを摂取すると良いでしょう。
▽カゼインプロテインの効果についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
【レビュー】オプティマム カゼインプロテインの味・効果・飲み方について
プロテインを飲む頻度と一回当たりの摂取量
1回あたりに飲むプロテインの量と飲む頻度について研究した文献をもとに説明します。
この研究では、トレーニング後12時間以内に計80gのプロテインを飲んだ際の筋合成速度を調べています。[4]
3条件で調べており、合計摂取量は変えずに一気に飲む群と細かく飲む群に分けています。
- 6時間おきに40gのプロテインを飲む群(Bolus)
- 3時間おきに20gのプロテインを飲む群(Intermediate)
- 1.5時間おきに10gのプロテインを飲む群(Pulse)
結果がこちらです。
3時間おきに20gのプロテインを飲んだ群が明らかに筋合成速度が高まっていることが分かります。
つまりこの研究からは、プロテインは一度に大量に飲まず、かといって少量過ぎてもダメだと言えます。
この研究を模擬して一回当たりのタンパク質摂取量は20gに分けて、3時間おきに飲むのがベストです。
プロテインの理想的な摂取スケジュール
筋肥大に効果があるプロテイン摂取タイミングをまとめると、
- トレーニング直後
- トレーニング24時間以内
- 就寝前
このようになりました。
今まで説明してきたことを含めて1日の理想的なプロテイン摂取パターンを考えました。
それがこちらになります。
時刻 | トレーニングを行う日 | トレーニング翌日 | トレーニング翌々日 |
6:00 | 朝食 | 朝食 | 朝食 |
9:00 | ホエイプロテイン20g | ホエイプロテイン20g | |
12:00 | 昼食 | 昼食 | 昼食 |
15:00 | ホエイプロテイン20g | ホエイプロテイン20g | |
18:00 | トレーニング | ||
19:00 | ホエイプロテイン20g | 夕食 | 夕食 |
20:00 | 夕食 | ||
22:00 | カゼインプロテイン20g | カゼインプロテイン20g | カゼインプロテイン20g |
23:00 | 就寝 | 就寝 | 就寝 |
ご飯もタンパク質摂取タイミングと考えて、3時間おきにタンパク質を摂取するようにスケジュールを組みました。
トレーニングを行う時間帯や生活習慣は人によって異なると思うので、この表を参考に個人に合わせた形を作ってみて下さい。
また一度に摂取するプロテイン量も、人それぞれ異なると思うので自由に変えて下さい。
下記計算式で求めるのがおすすめです。
一回当たりのプロテイン量={(体重×2g)-(ご飯から摂るタンパク質の合計量)}/ 4
せっかくプロテインを飲むんだから、効率的な方法で飲んでみて下さい。
また新しい文献が見つかったら更新しますね。
それではまた!
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参考文献
[1]Enhanced amino acid sensitivity of myofibrillar protein synthesis persists for up to 24 h after resistance exercise in young men.
[2]Essential amino acid and carbohydrate ingestion before resistance exercise does not enhance postexercise muscle protein synthesis.
[3]Protein Ingestion before Sleep Increases Muscle Mass and Strength Gains during Prolonged Resistance-Type Exercise Training in Healthy Young Men.
[4]Timing and distribution of protein ingestion during prolonged recovery from resistance exercise alters myofibrillar protein synthesis