ダイエットといえば脂質をカットするいわゆる「カロリー制限ダイエット」が定番でしたが、最近はケトジェニックや糖質制限と呼ばれる「糖質をカットするダイエット」が効果的と言われています。
この糖質制限ダイエットに何かと登場する「ケトン体」ですが、これを理解するのはなかなか難しいです。
ただケトン体をちゃんと理解していないと、糖質制限時に何に気をつけなければいけないのかが分からなくなってしまいます。
この記事ではケトン体についての理解を深めた上で、ダイエット成功に導く「ケトン体を増やす方法」について詳しく解説していきます。
この記事を読むと分かること
- ケトン体とは何か
- なぜケトン体を増やす必要があるのか
- ケトン体を増やす方法
- ケトン体が増えたか確認する方法
目次
ケトン体とは
ケトン体とは何か
ケトンとはR-C(=O)-Rで表される化合物の総称です。
つまり炭素と酸素の二重結合に加えて、両側に炭素が結びついたものをケトンと呼びます。
ケトン体には3種類あり、「アセト酢酸」「βヒドロキシ酪酸」「アセトン」のことを指します。
ケトン体は糖質制限時のエネルギー源
私たちが普通に生活をしている限り、
しかし糖質制限を行うと体内が糖不足に陥り、
でもここで問題が発生します。
脂肪を分解してできる脂肪酸は細胞を溶かす作用があるため、
そのため、脂肪酸を安全性の高いケトン体に変えることで脂肪のエネルギーを全身
またそれだけでなく、糖質が不足すると、筋肉や脂肪を分解してエネルギーを作り出す「糖新生」が起こります。
この糖新生ではオキサロ酢酸を必要としますが、糖質を十分に摂取していないとオキサロ酢酸不足になってしまいます。
オキサロ酢酸が不足しているとエネルギーを作り出す「クエン酸サイクル」が回りません。
この時、脂質を十分に摂取していると、体内にアセチルCoAという物質が大量にできます。
このアセチルCoAがケトン体に変わり、全身に運ばれ、運ばれた先で「コハク酸」に変わります。コハク酸はリンゴ酸を経て、オキサロ酢酸に変わることができます。
オキサロ酢酸ができたことで、クエン酸サイクルが回り、エネルギー(ATP)を作りだしてくれます。
ケトン体はエネルギーを作り出す「クエン酸サイクル」を回すのに必要な物質なのです。
ポイント
- ケトン体は全身にエネルギーを運ぶ
- ケトン体は糖質制限時のエネルギーを作るのに必須
ケトン体を増やす方法
血液中のケトン体が増えて、ケトン体をエネルギー源として使用している状態を「ケトーシス」と呼びます。
ケトーシスになると、体脂肪をどんどん燃やしてエネルギーに変えてくれます。
このため、糖質制限ではしっかりとケトーシスになることが大事になります。
それではどうしたらケトーシスになることができるのでしょうか。
ケトン体を増やす方法
- 脂質をたくさん摂取する
- MCT(中鎖中性脂肪)を多く摂取する
- BCAAの摂取
脂質をたくさん摂取する
ケトン体をたくさん作り、ケトーシスになるには脂質をたくさん摂取することが一番大事です。
前述した通り、ケトン体を作るには大量のアセチルCoAが必要です。このアセチルCoAを作るのは「脂質」です。
つまりたくさんの脂質を摂取することで、ケトン体をたくさん作りだすことができるのです。
体脂肪を燃やしたいから、糖質に加えて脂質を制限するというのは大間違いです。
実は脂質以外にもケトン体になれるのがあります。
それは「筋肉」です。
筋肉を構成する「ロイシン」「イソロイシン」はケト原生アミノ酸とも呼ばれ、ケトン体を生成することができます。
そして残念ながら、体脂肪よりも筋肉の方が簡単にケトン体になることができると言われています。
脂質を控えていると、筋肉ばかり分解されてケトン体を作りだすことになってしまいます。
この結果、代謝が落ち、リバウンドしやすい身体になってしまいます。
これはボディメイクをする人にとって致命的なことです。
これを防ぐためには脂質をたくさん摂取して、脂質過剰状態にして、筋肉よりも優先的にケトン体になる状態を作らなければいけません。
脂質の摂取目安は総カロリーの60%です。
消費カロリーが2000kcalの人であれば、1200kcal(133gの脂質)分を脂質から摂取しなければいけません。
残り30%がタンパク質、10%を糖質にしましょう。
脂質の摂取目安
- 摂取カロリーの60%を脂質にする
- 必要脂質(g)=摂取カロリー×0.6÷9
MCTをたくさん摂取する
ケトジェニックダイエットが広まったことで知られるようになったのがMCTオイルです。
MCTとは中鎖中性脂肪のことで、炭素の数が中くらいの中性脂肪を意味しています。
「MCTオイル」や「ココナッツオイル」が代表的なMCTになります。
MCTはエネルギーになりやすいことが明らかになっています。
普通の脂質に比べて、4倍も早く酸化され、ケトン体の生成量は10倍にもなります。
ケトジェニックダイエットでは素早くケトーシスに移行しないと、前述した筋肉の分解が起きてしまいます。
このため、ケトジェニック初期においてはMCTをたくさん摂取して、血中のケトン体レベルを速く上昇させることが重要になります。
MCTオイルとココナッツオイルを比べると、MCTオイルの方が吸収が速いことが分かっています。
- MCTは摂取から1.5時間でケトン体レベルが最大になる
- ココナッツオイルは3時間でケトン体レベルが最大になる
MCTの方が即効性が高いため効果的ですが、吸収が速い分お腹がゆるくなる人が多いです。
こまめに摂取することで対策をしましょう。
どうしてもダメであれば、ココナッツオイルを試してみて下さい。
ポイント
- ケトジェニック初期はMCTオイルをたくさん摂取する
- 効き目はMCTオイル>ココナッツオイル
- MCTオイルはお腹がゆるくなってしまう場合があるので、こまめに摂取する
BCAAを摂取する
BCAAとは「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の3つの必須アミノ酸のことです。
「Branched Chain Amino Acids(分岐鎖アミノ酸)」の頭文字をとってBCAAです。名前の通り、枝分かれ構造をもっていることからバリン・ロイシン・イソロイシンはひとくくりにされています。
BCAAのうち、「ロイシン」「イソロイシン」はケト原生アミノ酸と呼ばれ、ケトン体に変わることが分かっています。
ケトジェニック中は筋肉を分解してケトン体を取り出そうとする働きがおきやすいです。
この時BCAAを摂取しておくと、BCAAが筋肉の変わりにケトン体へと変換されるため、筋肉の分解を抑えることができます。
またBCAAには筋肉を増やす効果もあるので、積極的に摂取するようにして下さい。
BCAAの効果
- 筋肉の合成を進める
- 筋肉の分解をおさえる
- 筋損傷の回復を早める
- 持久力を増やす
- 体脂肪を減らす
- 集中力をあげる
BCAAの摂取タイミングは血中のケトン体レベルが下がりやすい食間がおすすめです。
朝食~昼食の間に5g、昼食~夕食の間に5g、就寝前に5gとると良いでしょう。
BCAAの摂取方法
- 食間に5gずつ摂取する
自宅で簡単にケトン体を確認する方法
ケトン体がきちんと増えてきているかを確かめるには「ケトスティック」を使うのが便利です。
ケトスティックを尿をつけると色が変化します。この色の変化から尿のケトン体濃度を知ることができます。
ケトン体についてのまとめ
糖質制限やケトジェニックダイエットをしている人にとって非常に大事なケトン体について詳しく説明してきました。
ダイエットを成功させるためには「素早くケトーシスになる」ことが重要です。
ケトーシスに速くなるためには次のことに注意しましょう。
ケトン体を増やす方法まとめ
- 脂質・MCT・BCAAをしっかり摂取する
- 脂質は総カロリーの約60%になるようにする(タンパク質30%、糖質10%)
- ケトジェニック初期はMCTオイルをたくさん摂取する
- BCAAを食間に5gずつ摂取する
- ケトーシスになるまではケトスティックでこまめに確認する
中途半端な糖質制限ダイエットは上手くいかないことが多いですが、糖質を極力減らして、脂質を増やすことでケトン体を作り出すケトジェニックダイエットは大きく体脂肪を減らすことが可能です。
今回お話ししたケトン体を増やす方法で脂肪の少ないカッコいい身体を目指しましょう!
それではまた!
-
糖質制限ダイエットで痩せる仕組みとリスクについて【リバウンドと病気に注意】
続きを見る