糖質制限ダイエットと混同しやすいダイエット法に「ケトジェニックダイエット」があります。
どちらも糖質を制限すること(低糖質)に変わりはないのですが、それぞれのダイエット法をはっきり区別しておかないと、思った通りのダイエット結果が得られない可能性があります。
この記事では糖質制限とケトジェニックの違いについて徹底的に解説していこうと思います。
この記事を読むと分かること
- 糖質制限ダイエットとは
- ケトジェニックダイエットとは
- 糖質制限とケトジェニックの違い
- おすすめの低糖質ダイエット
目次
糖質制限(ロカボ)とは
糖質制限ダイエットとは、その名の通り、糖質の量を減らすダイエット法になります。
日本で一般的に糖質制限と認知されているのは「ゆるい糖質制限」です。たとえば白飯の量を半分にしたり、夕飯だけ白飯を抜きにしたりです。
少しまえから流行っている「ロカボ」もゆるい糖質制限の一種です。
ロカボの定義が1食で摂取する糖質を20~40gにするというものです。3食を合わせると、一日に70~130gの糖質を摂取することになります。
この記事では「ゆるい糖質制限=糖質制限ダイエット」と呼ぶことにします。
糖質制限の糖質目安
- 1日に70~130g
- 1食あたり20~40g
糖質制限の効果
糖質制限ダイエットは「血糖値の上昇抑制」と「低糖質によるカロリー減少」の二つのダイエット効果を狙ったものになります。
糖質制限ダイエットの効果
- 血糖値の上昇抑制
- 低糖質による摂取カロリー減少
- (糖新生による体脂肪の燃焼)
血糖値の上昇抑制
わたしたちが糖質を摂取すると、消化吸収され、血液中に糖分が送られます。こうして血液中の糖分量である「血糖値」が上昇します。
すると血糖値を下げるホルモン「インスリン」が分泌され、血糖値を下げます。
このインスリンは全身に栄養を運ぶ役割を持っているため、インスリンが大量に分泌されると、体脂肪が増える原因になります。
糖質を制限すると、血糖値の上昇が抑えられ、インスリンの分泌量も減ります。その結果、栄養素が全身に行き渡りにくくなり、体脂肪の増加を防ぐことができます。
摂取カロリーの低下
糖質は1gあたり4kcalのエネルギーを持っているので、糖質を減らせば減らした分だけ、食事から摂取するカロリーが減ることになります。
体重が増減する仕組みは次のようになっています。
- 体重増加:摂取カロリー>消費カロリー
- 体重減少:消費カロリー>摂取カロリー
摂取カロリーが減り、消費カロリーを下回れば、体重が減ることになります。
糖質制限で減らした糖質分だけ痩せることになるのです。
ケトジェニックとは
ケトジェニックとは、糖質を制限して、その代りに脂質をエネルギー源にするダイエット方法です。
糖質制限との大きな違いは「脂質をエネルギー源にする」ことです。
ある程度の糖質を摂取する糖質制限(ロカボ)では、あくまで糖質がエネルギー源となります。
ケトジェニックでは、極端に糖質をカットすることで、体内の糖質を追い出し、脂質を無理やりエネルギー源に変えてしまいます。
糖質の摂取目安は「総摂取カロリーの10%以下」です。
男性の平均摂取カロリーが約2200kcal、女性は約1600kcalなので、ここからケトジェニックに必要な糖質量を計算すると次のようになります。
ケトジェニックの糖質目安
- 男性:1日に55g以下(1食18g)
- 女性:1日に40g以下(1食13g)
ケトジェニックでは厳しい糖質カットに加えて、脂質を大量に摂取しなければいけません。
脂質をエネルギー源にするためには、脂質をたくさん摂取する必要があります。
具体的には、全体の約60%のカロリーを脂質で補うことで、脂質をエネルギー源として使用しやすくなります。
ケトジェニックの効果
ケトジェニックは糖質制限とは異なり、脂質をエネルギー源にするのが大きなポイントです。
通常は糖をエネルギーにしているのですが、脂質をエネルギーとして使える身体(=ケトーシス)に変えることで、体脂肪を燃やしやすくできます。
ケトジェニックダイエットの効果
- 血糖値の上昇抑制
- 脂質をエネルギー源にし、体脂肪を燃焼しやすくする
ゆるい糖質制限をしただけでは、体にまだ糖質があるため、食事から摂取した糖質を使いきったら、筋肉を分解して糖を作り出す「糖新生」が起きます。
しかしケトジェニックでは糖新生を行わず、脂質から「ケトン体」を作りエネルギーとして活用します。
通常、体脂肪はなかなか落ちないやっかりな存在ですが、ケトン体を作れる身体になることで、体脂肪をガンガン燃やすことができるようになるのです。
糖質制限とケトジェニックの比較
糖質制限とケトジェニックの大きな違いは「糖をエネルギーにする」か「脂質をエネルギーにする」かです。
ダイエット中に落としたいのは体脂肪ですから、脂質をエネルギーにできるケトジェニックの方が有利だと考えられます。
また私たちの体は糖をエネルギーにしている限り、食事から足りなかった糖質は筋肉や脂肪を分解する「糖新生」によって補われます。
つまり糖質制限では、糖新生による筋分解が起きてしまいますが、ケトジェニックでは筋肉が落ちてしまうことはありません。
糖質制限(ロカボ)のダイエット効果
ケトジェニックの方がダイエット効果が高いと考えられますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
ここでは糖質制限とケトジェニックそれぞれのダイエット効果に関する文献を紹介します。
まずは糖質制限と脂質制限を比較した文献を見ていきましょう。[1]
この研究では糖質を総カロリーの29%に制限しており、一日のトータル摂取糖質は140gでした。
糖質制限と脂質制限ともにトータル摂取カロリーは同じにしてあります。
期間中の体脂肪の減少量を示したのが次のグラフになります。
糖質制限に比べて、脂質制限の方が体脂肪を落とすことができるという結果でした。
この研究では体重の減少速度も調べており、それが次のグラフになります。
脂質制限は6日かけて250gの体重変化ですが、糖質制限の方はたった6日で2kgも体重を落とすことに成功しています。
しかしさきほどの体脂肪変化を示したグラフの通り、体脂肪は脂質制限の方が落ちやすいことがわかっています。
では糖質制限の体重減少はいったい何なのでしょうか。
答えは「水分が抜けたから」と「糖新生で筋肉が減ったから」です。
よく糖質制限を始めて短期間で5キロ痩せた!という話を聞きますが、それは決して脂肪が落ちたわけではありません。
糖質制限をやめれば当然水分は元に戻るため、一気に1kg以上体重が増えます。しかし筋肉は元通りにはならないので、以前よりも代謝が悪くなってリバウンドしやすい体が出来てしまっています。
糖質制限vs脂質制限
- 体脂肪の減少:脂質制限>糖質制限
- 体重減少:糖質制限>脂質制限
糖質制限は筋肉の分解や脱水が起きるため体重が減りやすいが、脂肪はあまり減っていないので注意。
ケトジェニックのダイエット効果
低脂質とケトジェニックダイエットに関する13の研究を元にしたメタアナリシスでは、次のような結果が得られています。[2]
- 体重減少:ケトジェニック>低脂質
- 中性脂肪の低下:ケトジェニック>低脂質
- 血圧の低下:ケトジェニック>低脂質
メタアナリシスとは
- 数多くの研究をまとめて分析したもので、信頼性が高い文献
体重減少・中性脂肪・血圧のすべての項目でケトジェニックの方が良好な結果が得られています。
中性脂肪の改善が見られていることから糖質制限とは異なり、体脂肪が落ちたことで体重が減ったのだと考えられます。
ケトジェニックvs脂質制限
- 体重減少・血圧・中性脂肪の全ての項目で低脂質よりケトジェニックの方が改善効果が見られた。
糖質制限とケトジェニックの比較まとめ
糖質制限とケトジェニックダイエットを比較した表を作成したので、どちらのダイエットを選ぶかの参考にしてください。
糖質制限 | ケトジェニック | 脂質制限 | |
エネルギー源 | 糖質 | 脂質 | 糖質 |
体脂肪減少 | △ | ◎ | ○ |
筋肉維持 | △ | ○ | ○ |
瞬発力 | ○ | △ | ◎ |
持久力 | △ | ◎ | △ |
難易度 | 易 | 難 | 難 |
ケトジェニックは脂質をエネルギー源にしてしまうため、瞬発力が低下してしまうのが唯一の欠点になります。
ただダイエット効果は非常に高いため、中途半端な糖質制限を長期間続けるよりは、ケトジェニックで短期間で体脂肪を落とす方が成功しやすいです。
ケトジェニックを行う際は、野菜以外から糖質を一切摂取しないことと、脂質をたくさん摂取するように心がけてください。
この二つがきちんと守れていれば、ダイエットは成功しますよ!
ケトジェニックを行うならMCTオイルは必ず必要になります。毎食MCTオイルを摂取することですばやくケトン体を作り出すことができます。
ケトジェニックで重要なケトン体を増やす方法については下記記事で詳しく説明しています。
-
ケトン体とは何か?ダイエットに大事な理由と増やす方法を分かりやすく解説
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参考文献
- [1]Calorie for Calorie, Dietary Fat Restriction Results in More Body Fat Loss than Carbohydrate Restriction in People with Obesity.
- [2]Very-low-carbohydrate ketogenic diet v. low-fat diet for long-term weight loss: A meta-analysis of Randomised controlled trials