プロテインの過剰摂取で若い女性が亡くなる事故があり、世間を騒がせたのは知っているだろうか。
(https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/1/21543.html)
この事故が話題になったことで、プロテインが体に悪いというイメージを強めた方も多いと思います。
実際にはプロテインそのものが悪かったのではなく、彼女が持つ「尿素サイクル異常症」と高たんぱくな食生活が合わなかったからであり、病気を持たない健康な人が飲む分にはほとんど影響がありません。
ただプロテインは絶対大丈夫。健康に悪くない。ということではなく、プロテインについて正しく理解して適切に飲むことが大事です。
この記事では、プロテインを飲むことで身体に及す副作用についてまとめました。
プロテインとは何かをおさらい
そもそもプロテイン=筋肉増強剤と間違う方も多いですが、
プロテインはただのたんぱく質です。
プロテインには大きく分けて3つの種類があります。
- ソイプロテイン
- ホエイプロテイン
- カゼインプロテイン
これらの違いはたんぱく質を抽出する際の原料の違いで、ソイプロテインは大豆から、ホエイプロテインとカゼインプロテインは牛乳から出来ています。
この3つは吸収速度が異なり、吸収が早い順に「ホエイ>ソイ>カゼイン」となっています。
またホエイプロテインはBCAAを多く含むことから筋肉増強・維持に向いていたり、ソイプロテインは脂肪燃焼効果が高いことから目的に応じたプロテインを選ぶことが大事です。
日々のトレーニングに加えて、体重×1.5倍(g)程度のたんぱく質を摂取することで筋肉の合成が進み、ムキムキの身体になったり、締まった美しいボディラインを手に入れることができます。
この際、通常の食事では十分なたんぱく質量を摂取できないため、多くのトレーニー達はプロテインを飲むことになります。
ここでもう一度言いますが、プロテインはただのたんぱく質です。
このたんぱく質は脂質・炭水化物と並ぶ三大栄養素と呼ばれ、生きていく上で必ず必要な栄養素です。したがって普通に摂取している分には何の問題もありません。
副作用
脂質の摂りすぎが血管の病気に、糖質の摂りすぎが糖尿病を引き起こすように、体を作る栄養成分「三大栄養素」でも摂取しすぎは病気を引き起こすリスクを高めます。
これはたんぱく質でも同様で具体的には下記副作用があります。
肝臓・腎臓へのダメージ
たんぱく質を摂取すると体内で分解され、筋肉の合成に使用されますが、過剰に摂取するとアンモニアがたくさん出来てしまいます。
アンモニアは有毒なため、肝臓で無害な尿素に変換された後に、腎臓で尿として排出されます。
プロテインの摂りすぎによるたんぱく質過剰状態は肝臓・腎臓への負担を大きくすることになり、この二つの臓器を破壊していきます。
腸内環境の乱れ
たんぱく質は三大栄養素で唯一窒素元素(N)を持つ栄養素です。
この窒素は腸内に存在する悪玉菌(腸内で有害な働きをする)のエサとなり悪玉菌を増殖させる作用があります。
プロテインを多く飲むことで悪玉菌が増殖し、悪玉菌と善玉菌のバランスが崩れることで正常な腸内フローラが崩れてしまいます。
腸内環境が悪化すると、下痢や臭いおならの原因になります。
プロテインを飲んだことで腸内環境が悪化した場合の対処法を下記記事で紹介しています。
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プロテインによる腸内環境の悪化!おなら・下痢・便秘の原因と対策
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尿路結石のリスク
たんぱく質の過剰摂取は尿路結石のリスクを高めると言われています。
尿路結石は三大激痛の一つと言われるほど、痛いそうなので極力避けたいですよね。
プロテインや肉類に多く含まれる「動物性たんぱく質」を摂取すると、シュウ酸や尿酸などの物質が体内に増えます。
このシュウ酸には、腸のなかでカルシウムと結びつき、便と一緒にからだの外に排泄されます。
しかしプロテインの摂りすぎにより、シュウ酸の量が増えると、腸内でカルシウムと結びつくことなく、尿に出てしまいます。
尿のなかでシュウ酸がカルシウムと結合すると、石のようなかたまりとなり、腎臓に障害を及ぼしたり、尿管を詰まらせることになるのです。
尿路結石を防ぐためには、動物性たんぱく質の量を減らすこととカルシウムの摂取量を増やすことが大事です。
カルシウムが増えると腸内でシュウ酸と結合しやすくなり、便としての排出を促進してくれます。
糖尿病のリスク
プロテインでなぜ糖尿病?と疑問に思う方も多いと思いますが、これは人工甘味料の影響です。
プロテインは栄養的に80%程度がタンパク質で糖質はほとんど含まれていません。
ではプロテインのあの甘ったるい味は何なのか。
その答えが「人工甘味料」です。
皆さんご存知ネイチャー誌で「人工甘味料は耐糖能障害を促進する」と書かれた論文が発表されています。
この論文では、人工甘味料は代謝されなくてもカロリーゼロでも血糖値を高めると指摘されています。
さらに砂糖を与えたラットは耐糖能障害が見られなかったことから、砂糖よりも人工甘味料の方が糖尿病リスクが高いとされています。
「糖質ゼロだから」「低カロリーだから」と言って人工甘味料たっぷりのプロテインを毎日飲んでしまうと糖尿病リスクを高めることになってしまうかもしれません。
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プロテインは人工甘味料だらけ!?健康への危険性とおすすめプロテイン
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肥満
プロテインはたんぱく質だから筋肉を作るもので脂肪にはなりにくいというイメージを持つ方もいるかと思います。
確かにたんぱく質は筋肉の合成に使用されますが、脂肪としても蓄積されます。
炭水化物と同じく、1gあたり4kcalのエネルギーを持つので、「総摂取カロリー>総消費カロリー」となれば余った分だけ脂肪になります。
また筋トレ後24時間の間は筋肉の合成に使用されやすいですが、それ以降は脂肪にもなりやすくなるので、トレーニングしていない日に安易にプロテインを飲まない方が良いです。
トレーニング後24時間まではプロテインを積極的に摂取し、それ以降はプロテイン量を減らすと良いでしょう。
正しいプロテインの摂取方法
プロテインの飲み方として一番の間違いは「一度に大量に摂取すること」です。
副作用で説明した通り、プロテインがもたらす悪影響のほとんどはたんぱく質の過剰摂取によるものです。
過剰摂取にならないためには、二つのたんぱく質摂取量に気を付ける必要があります。
- 一日のトータル摂取量
- 一回当たりの摂取量
一日のトータル摂取量については、ハードな筋トレを週に3回以上行う人は「体重×2倍(g)」を目安にして下さい。
自重トレーニング中心の方や細マッチョを目指す方は「体重×1.2~1.5倍(g)」を目安にして下さい。
この時、プロテインよりも食事から摂るたんぱく質を優先して下さい。まずは食事で摂取するたんぱく質量を計算し、足りない分をプロテインで補う形が理想です。
また一度の食事で吸収できるたんぱく質の上限量が一般的に、「体重×0.7倍(g)」と言われています。
したがって、一回当たりの摂取量はこれ以下になるように心がけ、
できれば「体重×0.5倍(g)」にとどめるのがおすすめです。
少ないほど吸収率は上がるので、複数回に分けて摂取できる場合は、こまめにプロテインを飲むようにすると良いでしょう。
正しいプロテインの摂り方
- 一日のたんぱく質のトータル摂取量は「体重×2倍(g)」以下にする
- 一回あたりのたんぱく質摂取量を「体重×0.5倍(g)」以下にする
最後に
何かと健康に対する影響が噂されるプロテインですが、その中身はほとんどがたんぱく質で、体を作る大事な栄養素です。
しかし脂質や炭水化物の摂りすぎと同じようにたんぱく質の摂りすぎは健康被害をもたらします。
たんぱく質の適切な摂取量を理解した上で、通常の食事では足りない分をプロテインで補うようにしましょう。
またプロテイン選びも慎重に行い、多量にプロテインを摂取する人は出来る限り人工甘味料フリーの製品を選ぶと良いです。
プロテイン選びはこちらの簡単診断も試してみて下さい。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた!