皆さんは筋トレを週に何回行っていますか?
おそらく同一部位を週1~3回の方が最も多いのではないかと思います。
週一回鍛えるよりは週2回、週2回よりは週3回鍛えた方がより速く筋肥大しそうですが、実際はどうなんでしょうか。
今回はトレーニング頻度に関するエビデンスを紹介しながら、一体週に何回トレーニングをしたらいいのか?、なぜその頻度がいいのか?について説明していきます。
筋合成の観点
筋トレを行うと筋タンパクの合成感度が上がり、この時にタンパク質を摂取すると、筋肉の合成が始まります。
この筋タンパクの合成はトレーニング後48時間近く行われることが研究から分かっています。
下記がトレーニング後の筋タンパク合成速度を調べた研究結果です。
(参考文献のグラフに筆者が加筆:https://nutritionandmetabolism.biomedcentral.com/track/pdf/10.1186/1743-7075-9-40)
トレーニング直後が最も筋タンパクの合成が活発に行われます。これはいわゆるゴールデンタイムと呼ばれる時間帯です。
注目してほしいのが、24時間、48時間たってもトレーニング前と比べて筋タンパクが合成されやすい点です。
つまり、トレーニング後48時間は、すでに筋タンパク合成が活発化されているので、この間にトレーニングを行っても筋肉の合成効果は薄いのです。
筋分解の観点
コルチゾールの増加
筋トレは筋肉を増やす効果しかないと勘違いしている方が多いですが、筋トレ自体は体にとって大きなストレスであり、このストレスが原因で筋肉が分解されることがあるのです。
その原因がストレスホルモンである「コルチゾール」
コルチゾールが増加すると、体内のグルタミンが消費されます。しかしグルタミンは血中にたくさん存在するわけではないため、筋肉を分解してグルタミンを取り出そうとします。
これが筋分解(カタボリック作用)のメカニズムです。
ラグビー選手の試合後のコルチゾール濃度を調べた研究では、12~36時間後に通常時の1.5倍程度のコルチゾールが検出されています。また60時間経過するとコルチゾールの減少が確認できましたが、それでも通常時の1.3倍高い値が検出されています。
(画像引用元:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23539085)
少なくともトレーニング後60時間以内に再び同一部位をトレーニングすると、コルチゾールレベルをさらに上げることになってしまいます。
筋タンパク分解抑制
筋トレは筋分解を促進してしまう一面があることを説明しましたが、筋分解を抑制する作用も持っています。
男性ホルモンであるテストステロンが筋肉を増やすホルモンであるのに対し、筋肉を減らす作用をもつ「ミオスタチン」と呼ばれる遺伝子があります。
現代は飽食の時代で、お腹を空かして倒れてしまうなんてことはありませんが、大昔は違いました。いつ次の食事がとれるか分からない状況でエネルギーをたくさん消費してしまう筋肉をたくさんつけてしまうのは寿命を縮めてしまう危険があったのです。
それゆえに人間の体にはミオスタチンと呼ばれる筋肉量を減らす遺伝子が存在するのです。
トレーニングを行うとミオスタチンレベルが低下し、筋分解が抑えられます。
身体が危機を感じ、筋肉を減らさないように警告を出しているのです。
このミオスタチンレベルはトレーニング後50時間経過しても低い状態を維持することが分かっています。
つまりトレーニング後50時間たっても、まだ筋分解を抑制する作用が残っており、トレーニングを再開する必要がないということです。
(参考文献のグラフに筆者が加筆:参考文献)
理論的には3日間(72時間)空けるのが良い
筋合成と筋分解の観点から最適なトレーニング頻度を考えてきました。上記の結果をまとめると次のようになります。
理論上の最適トレーニング頻度
- 筋タンパクの合成は48時間以上続く⇔48時間以上
- 60時間以上筋分解が起こりやすい⇔60時間以上
- 50時間以上筋分解が抑えられる⇔50時間以上
上記から最低でも2日間(48時間)、できれば3日間(72時間)休養してトレーニングを再開するのがベストだと言えます。
トレーニング頻度に関するエビデンス
大学生とプロのアスリートを対象に行ったメタアナリシスでは37の文献をもとに統計的処理を行っています。(参考文献)
その結果最適なトレーニング頻度は週二回であるとしています。
アスリートを対象に行ったメタアナリシス結果
- 最適頻度:週二回
- 最適セット数:各部位8セット
- 最適重量:MAXの85%
メタアナリシスとは?
- 複数の文献を統計的に解析する分析手法。もっとも質の高い結果が得られる。
またトレーニング未経験者と経験者を対象に行ったメタアナリシスでは140の文献を分析しています。
その結果トレーニング未経験者は週3回、経験者は週2回がベストでした。
トレーニング未経験者と経験者を対象に行ったメタアナリシス結果
- 未経験者:週3回
- 経験者:週2回
トレーニング未経験者は対象となる筋肉へ適切な負荷を与えることが難しいため、各種ホルモンが出にくく、高頻度なトレーニングの方が結果が出やすかったと考えられます。
一方経験者や前述のアスリートは週2回がベストであることから理論的なトレーニング頻度と一致しています。
最適なトレーニング頻度
- メタアナリシスでは週二回のトレーニングが最も筋肥大効果が高い
- 理論的にも週二回のトレーニングがベスト
⇒トレーニング経験者は各部位週2回のトレーニングがベスト
ベストトレーニングルーティンはこれ
各部位週二回のトレーニングが理想なので、それを元にトレーニングルーティンを組みました。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
背中 | 高重量 | 低重量 | |||||
胸 | 高重量 | 低重量 | |||||
腕 | 中重量 | ||||||
肩 | 中重量 | ||||||
脚 | 低重量 | 高重量 |
毎日トレーニングするのは少々きついかもしれませんが、可能であれば、これが最も無理なく筋肥大に効果的なトレーニング頻度になると思います。
背中・胸・脚を一緒にトレーニングしてしまえば、トレーニングしない日を作ることができますが、これでは疲労度が高く最後までトレーニングに集中するのが難しくなってしまうため、分割しています。
また大筋群は高重量ばかりで鍛えると関節への負荷やオーバートレーニングの元になってしまうので、週2回トレーニングを行う場合は「高重量デー」と「低重量デー」に分けてトレーニングを行うとケガのリスクを最小限に抑えることができます。
高重量デーでは低レップで物理的刺激を、低重量デーでは高レップで化学的刺激を狙っていきましょう。
物理的刺激や化学的刺激についてはこちらの記事を参照して下さい。
腕や肩は、胸や背中トレーニングで補助的に使用されるため、オーバートレーニングを防止するために週一回のトレーニングにしています。
毎日トレーニングするのがきついって方はこれをベースに、集中して鍛えたい部位を選択して、その部位が週2回になるようにルーティンを組みなおしてみて下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。
週2回のトレーニングで筋トレ効果を最大限にしましょう!それではまた!
高頻度でトレーニングする場合は、簡単なホームジムを作ると便利ですよ。
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