突然ですが、あなたは筋トレ中のインターバルをどれくらいとっていますか?
- 呼吸が整う1分?
- ある程度疲労が抜ける3分?
- かなり疲労が抜ける5分?
ジムを見渡すと長めにインターバルをとっている人もいれば、ほとんど休まずに次のセット、種目に行っている人もいます。
また、きちんとストップウォッチで計測している人もいれば、私のように感覚で計測している人もいます。
筋トレにおける最適なインターバルはどれくらいなのかを科学的に説明していこうと思います。
目次
筋肉へ与える刺激とインターバルの関係
筋肉を発達させるためには、その部位に強いストレスを与える必要があります。
このストレスには2種類あり、物理的刺激と化学的刺激に分けられます。
物理的刺激
物理的刺激はいわゆる高重量トレーニングのことを指します。MAXの80%程度の重量を扱い筋繊維に直にダメージを与える方法です。
高重量トレーニングを行った方ならすぐに分かると思いますが、インターバルを1分程度にしてしまうと2セット目から急激にレップ数が下がってしまいます。
実はこれ、筋肉が疲労して持ち上がらないのではなく、神経伝達物質が枯渇しているからです。
高重量トレーニングにおいてインターバルを短くしてしまうことは筋肉をしっかり疲労させることができず、弱い物理的刺激しか与えられていないことを意味します。
神経伝達物質が回復するためには、長めのインターバルが必要になります。
3分〜5分を目安にしてください。
ポイント
高重量トレーニングでは神経伝達物質の回復を促すために長めにインターバルをとるといい
化学的刺激
2つ目の化学的刺激は最近になって有効性が認められてきたトレーニング法です。
これは軽めの重量、だいたいMAXの40%程度の重量を20レップス以上行い、筋肉内に疲労物質をためたり、血流を悪くすることで筋肉にストレスを与えます。
この低重量×ハイレップストレーニングは高重量トレと同等の筋肥大効果があることがわかっています。
この化学的刺激においては、疲労物質を多く溜めるために短いインターバルでトレーニングを行う方が多いです。
短いインターバルで行うと成長ホルモンの分泌が高まるため、筋肥大に有効だと考えがちですが、研究では気になる結果が得られています。
日本で行われた研究でウェイトトレーニングの経験が2年以上あるアスリートを対象にして、高重量×低回数トレーニングと低重量×高回数トレーニングの筋肥大効果を調べた結果を見ていきます。
研究内容
- 対象:20名の大学生アスリート
- 種目:上腕二頭筋(バーベルカール、プリーチャーカール、ハンマーカール)
- 期間:週3回のトレーニングを8週間
- グループSL:20レップス×30秒インターバル
- グループHL:8レップス×3分インターバル
- 両者とも3セットずつ限界回数まで行う
筋断面積の上昇率
筋力の変化率
(画像引用元:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28032435)
高回数×短時間インターバル群は10%の筋肥大、低回数×長時間インターバル群は5%の筋肥大となっています。
これだけ見ると化学的刺激を狙うハイレップストレーニングには短時間インターバルがあっている感じがします。
でも筋力の増減を見ると、高回数×短時間インターバル群は6%の筋力低下が認められました。
一方、低回数×長時間インターバルでは8%の筋力増加が起こっています。
筋トレで成果を出し続けるためには、漸進性過負荷の原則といわれる通り、少しずつ負荷を増やしていかなければいけません。
上記の研究結果では8週間という短期間だったために、短時間インターバルでも筋肥大効果が高かったですが、筋力低下が起きてしまうため、これ以上負荷を上げることはできません。
ハイレップストレーニング自体は筋力の低下をもたらすことはありません。もちろん高重量トレーニングよりは筋力向上効果は薄いものの、筋力を増やす効果があると実験から明らかになっています。
今回の筋力低下はおそらく短時間インターバルがもたらしたものだと考えられます。
化学的刺激を狙うハイレップストレーニングであっても十分なインターバルをとらなくてはいけません。
ポイント
エビデンスから明らかにする最適なインターバル
最適なインターバルについてあまり知らないトレーニーが多いですが、実は最近の研究から筋力・筋肥大に最適なインターバルは明らかになっています。
この記事を読んでくださっている方はトレーニング初心者~上級者までいると思うので、初心者と経験者に分けて文献を説明していこうと思います。
トレーニング初心者
トレーニング初心者に最適なインターバルを明らかにするために、初心者の筋肥大について調べた研究を見てみましょう。
研究内容
- 対象:19~27歳の計12名の男性、トレーニング初心者
- 期間:10週間のトレーニング
- グループSR:1分間インターバルをとったグループ
- グループLR:2.5分間インターバルをとったグループ
こちらが各グループのテストステロン値とコルチゾール値の推移です。
1分間しかインターバルをとらないSR(Short rest)グループはトレーニング後のテストステロン値やコルチゾール値が高くなることがわかります。
テストステロンは筋肥大をうながす男性ホルモンで、コルチゾールは筋肉を分解するストレスホルモンです。
短時間インターバルは体内で化学反応を多く起こすことがわかりますね。
しかしトレーニング期間が長くなると2.5分インターバル群とホルモン値に差がなくなっています。
そして最終的には2.5分インターバルをとったグループの方が筋断面積が増えました。
CSAと書かれているのが筋断面積の増加率で、長くインターバルをとったグループの方が約2倍ほど筋量が増えていることが分かります。
またベンチプレスとスクワットの使用重量も長くインターバルをとった方が伸びています。
インターバルが短いとテストステロンが多く分泌されますが、それと同様に筋肉を分解するコルチゾールも多く分泌されるため、筋肥大効果を打ち消してしまっているのかもしれません。
初心者はインターバルを長めにとるのが筋肥大への近道です。
ポイント
初心者はインターバルが長いほど、筋量・筋力ともに増加しやすい
トレーニング経験者
筋力向上に最適なインターバル
続いて、トレーニング経験者のインターバルと筋力の関係を調べた文献を紹介します。
研究内容
- 対象:36名のトレーニング歴のある男性
- 種目:ベンチプレス、レッグプレス
- 期間:16週間のトレーニング
- グループ①:1分間インターバルをとったグループ
- グループ②:3分間インターバルをとったグループ
- グループ③:5分間インターバルをとったグループ
(参考文献はこちら)
ベンチプレスのMAX重量
レッグプレスのMAX重量
上のグラフを見て頂くと、ベンチプレスとレッグプレスの両方でインターバルが長くなるにつれてMAX重量が伸びていることが分かります。
5分間インターバル群が最も筋力が増え、1分間インターバル群が最も効果が低い結果になりました。
ポイント
経験者はインターバルが長いほど、筋力が増加しやすい
筋肥大に最適なインターバル
筋力の観点からは長時間インターバルが有効という結果でしたが、筋肥大についてはどうでしょうか。
次は筋肥大とインターバルの関係を調査した文献をご紹介します。
研究内容
- 対象:16名の若い男性
- 種目:
- 期間:
- グループ①:1分間インターバルをとったグループ
- グループ②:5分間インターバルをとったグループ
1分間のインターバルをとったグループは筋タンパク合成が76%しか高まらなかったのに対し、5分間インターバルをとったグループは152%も筋タンパク合成が高くなりました。
2倍も筋肉の合成量が変わるということで明らかに長い時間インターバルをとった方が筋肥大に有利だとわかります。
ポイント
経験者はインターバルが長いほど、筋量が増加しやすい
筋力&筋肥大には3〜5分インターバルが効果的
トレーニング経験の有無に限らず、筋トレの最適なインターバルは3〜5分とりましょう。
短時間のインターバルは筋肥大に効果的でない上に、筋力低下をもたらす可能性もあります。
長めにインターバルをとることで、筋力を伸ばすことができるので、トレーニングごとに負荷を増やしていくことができます。これは筋トレのマンネリ防止にも一役かってくれます。
最適なインターバル
- 筋力・筋肥大ともに長時間インターバルをとった方が効果的
- 高重量・低重量トレ問わず長時間インターバルをとった方が効果的
- 最適なインターバルは3~5分
※ステロイドユーザーの場合
プロボディビルダーのようにアナボリックステロイドを使用した選手は短時間インターバルを好んで行なっています。
これはステロイドの効果で筋分解を通常ではあり得ないレベルまで下げているからです。
先ほどの研究結果でお話しした通り、短時間インターバルトレーニングは筋分解を起こすコルチゾールがたくさん分泌されます。
一般の方はこのコルチゾールによって筋肉の合成量が増えないのですが、ステロイドユーザーは筋分解を抑えるため、テストステロンによる筋合成効果の恩恵を受けやすいです。
ユーザーか非ユーザーかによっても最適なインターバルが変わるということ覚えておくといいでしょう。
最後までお読み頂きありがとうございました。
長めのインターバルでトレーニング効果を最大限にしましょう!
それではまた!
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