みなさんが当たり前のように飲んでいるプロテインですが、意外と知らないのが「正しいプロテインの飲み方や選び方」です。
筋トレ後しかプロテインを飲まないって方や一度に大量に飲んでいる方、なんとなくホエイプロテイン以外を飲んでいる方は勿体ない飲み方をしているかもしれません。
この記事では、プロテインで筋肉が大きくなるメカニズムから筋肥大を最大化する飲み方まで徹底解説していきます。
きっとこの記事を読み終わったころには誰よりもプロテインに詳しいマニアになっていることでしょう。
この記事を読むと分かること
- プロテインで筋肉が大きくなるメカニズム
- プロテインの最適な摂取量
- プロテインは筋トレ後いつまで飲み続けるべきか
- 筋肥大にもっとも有効なプロテイン
目次
プロテインで筋肉が大きくなるメカニズム
筋トレをしてプロテインを飲むことで筋肉が大きくなることはあなたも知っていると思います。
でもなんでプロテインを飲むことで身体が大きくなるのでしょうか。
筋肉が大きくなるメカニズム
私たちの筋肉は筋タンパク質と呼ばれる材料から作られています。そしてこの筋タンパク質は常に合成と分解を繰り返しています。
血中に含まれるアミノ酸が合体して筋タンパク質になったり、筋タンパク質が分解されてアミノ酸になったりしているのです。
「アミノ酸→筋タンパク質」を筋合成と呼び、「筋タンパク質→アミノ酸」を筋分解と呼んだりします。
一定に保たれている筋合成と筋分解のバランスを傾けることで、筋肉が増えたり減ったりします。
例えば筋肉を増やすには、筋合成を増やすことはもちろん、筋分解を抑制することでも、筋肉を増やすことができます。
プロテインはこのどちらにも作用します。
プロテインを飲むことで、体内に入ったタンパク質は一度分解されて、アミノ酸となり、血中アミノ酸濃度を高めます。
血中アミノ濃度が上がると、なんとかこの濃度をさげようと考え、筋肉の分解を抑えて、筋タンパク質をたくさん合成し始めます。
その結果、筋肉が大きくなるのです。
これこそがプロテインを飲んで筋肉が大きくなるメカニズムです。
運動を全然せず、タンパク質の低い食事ばかりしている人の場合はプロテインを飲むことで微量に筋肉が増えることはある。でもほとんどの場合はプロテインを飲んだだけでは筋肉が大きくなることはないよ。
実は食事やプロテインから摂取したプロテインは筋合成にも使用されますが、単なるエネルギー源にもなります。
筋トレをしない人がプロテインを飲むと、血中アミノ酸濃度が上がった分、筋肉を増やそうとするのではなく、エネルギーとして利用することで、アミノ酸濃度を下げようとします。
筋肉を増やすには、筋トレ+プロテイン(タンパク質)の両方が大切です。どちらかだけでは筋肉は大きくなりません。
筋トレを行うと、体は強いストレスを受け、次に同じストレスがきたときに対抗できるようにしようと、筋肉を増やすように指示を出します。
しかしこの時に筋肉を作る材料であるアミノ酸が足りないと、筋肉が合成できません。さらにいえば材料となるアミノ酸を作り出そうと筋肉を分解し始めるのです。
一方で筋トレ後にプロテインを飲んだ時は、筋肉の材料であるアミノ酸が十分体内にあるので、これをもとに筋肉を合成し始めます。
筋肉が大きくなるメカニズム
筋トレが筋肥大のスイッチで、タンパク質が十分にあるとそれが材料となり筋肉が作られる
筋肉をなるべく多く増やす方法
このグラフは体内で起きている筋合成・筋分解を分かりやすく表したものになります。
筋トレ後にプロテインを飲むことで、数時間後から筋合成(---)が大きくなります。この時、筋分解(―――)も同時に抑制されます。
その結果、「筋合成>筋分解」となり、筋肉の合成が始まります。(黒く塗りつぶされた部分)
しかしプロテインの効果が薄まると、次第に筋分解が大きくなり、同時に筋合成も小さくなります。
そうすると、「筋分解>筋合成」となり、筋肉の分解が始まります。(線で囲われた白い部分)
筋肉の合成量(黒い部分)を増やし、筋肉の分解量(白い部分)を減らすにはこまめにプロテイン摂取を行い、血中に十分アミノ酸がある状態を作り続けなければいけません。
必須アミノ酸が全て揃わないと筋合成は始まらない
タンパク質や必須アミノ酸を摂取することで筋合成が始まりますが、これはホルモンの影響によるものではなく、純粋にアミノ酸の効果です。
ここで重要なのが必須アミノ酸(EEA)が全て揃って初めて、筋肉の合成が始めるということです。
必須アミノ酸のうち何か一つでも欠けていると筋合成は始まりません。
このアミノ酸のなかでも特に筋肉に大事といわれているのが「ロイシン」です。
ロイシンは筋合成のスイッチを押す役割を持っています。ロイシン比率が少ないEAAに比べて、ロイシン比率の高いEAAは筋合成速度を高めるという研究結果もあります。
ロイシンはとても重要視されており、バリン・ロイシン・イソロイシンの3種類のアミノ酸を含むBCAAをサプリメントでとる人が多いです。
繰り返しになりますが、ロイシン単体、BCAA単体では、完全なEAAではないので、筋合成は開始されません。必須アミノ酸が全て揃って初めて、ロイシンの効果が発揮されるということは必ず覚えておいてください。
プロテインの必要摂取量
筋肉を作る材料であるタンパク質・アミノ酸をたくさんとればとるほど、筋合成が旺盛になるかといえば、答えはNOです。
筋肉内に保存できるアミノ酸量には限りがあり、アミノ酸を必要とする筋合成プロセスに使用できる以上の過剰なタンパク質を収容するスペースは存在しません。
下のグラフを見て下さい。これはプロテインの摂取量と筋合成速度・ロイシンの酸化を比較したものになります。
(Moore et al.,2009より筆者加筆)
このグラフを見ると、プロテインの摂取量が20gになったところで、筋合成への感度が鈍くなっていることが分かります。一方のロイシンは摂取量が増えた分だけ酸化(代謝)されていることが分かります。
このことから、プロテイン摂取量を20gから40gに倍に増やしたところで、ほとんど筋合成には使用されず、別の部分で代謝されることになります。体内で余ったタンパク質はエネルギー源として使用されますが、その分解過程で、有害物質が放出されるため、過度なタンパク質摂取は無意味かつ健康を害する恐れがあります。
ただ一口に20gといっても体格によって大きく異なるため、「0.25 g(タンパク質)/kg(体重)/1食」になるようにすることで筋合成を最大化できるという報告もあります。
これはプロテインの場合で、通常の食事は時間をかけてゆっくり吸収されるため、これ以上のタンパク質を摂取しても吸収することができます。
1食あたりの最大タンパク摂取量
- プロテイン:0.25g×体重(kg)
- 通常の食事:0.6~0.7g×体重(kg)
筋トレ後48時間以内はプロテイン摂取を怠らない
プロテインの一回あたりの摂取量が分かったところで、続いてはプロテインを筋トレ後何時間飲めばいいかを見ていきましょう。
結論は見出しの通り「48時間以内はこまめに摂取すべき」です。
筋トレをすることで筋合成スイッチが押されることはメカニズムのところでもお話ししましたが、意外にもこのスイッチは長い時間押されています。
次のグラフは筋トレ後の筋タンパク合成速度の時間変化を見たものになります。
(Burd et al.,2011より筆者加筆)
Restと書いてある部分は筋トレを始める前の筋タンパク合成速度です。ここから筋トレを開始するとプロテインを摂取するたびに筋合成が促進されています。
この筋合成は筋トレ直後(いわゆるゴールデンタイム)に最大となります。
ただここで着目して頂きたいのが、筋トレ後24時間経過しても、筋トレ前に比べて高いレベルで筋合成を行うことができる点です。
もっというと48時間たっても、筋合成は大きくなっています。
つまり筋トレ直後がもっとも筋合成が行われますが、少なくとも48時間は筋合成のスイッチが入ったままなので、こまめにプロテインを飲むことが大事です。
筋合成の継続時間
- 筋トレ直後がもっとも筋合成レベルが高く、時間がたつにつれて低くなる
- 48時間後でも筋合成レベルは高いので、少なくとも48時間以内はこまめなプロテイン摂取を心がける
トレーニング前のプロテイン摂取は意味がない?
ゴールデンタイムが筋合成に有効なら筋トレ前にプロテインを飲むことに意味はあるのでしょうか。
これについても色々と研究がされてきています。
ティプトン氏が発表した研究成果によると、運動前後のアミノ酸摂取が、運動後の筋合成を促進するとされており、注目を浴びました。(Tipton et al., 2006)
しかしその後に、別の研究で運動前のアミノ酸摂取による筋肥大効果が調査された結果、有意な差は見られませんでした。
次のグラフはその一例で、運動前に必須アミノ酸(EAA)と炭水化物(CHO)を摂取したグループと何も摂取しないグループの筋合成速度を調べたものになります。
このグラフを見ると、運動前は筋合成に差があったものの、運動直後にはその差がなくなっていることが分かります。
つまり運動前のプロテイン摂取はその後の筋肥大には影響しないということです。
ただ1時間半を超えるような長時間トレーニングの場合は筋分解が進んでしまうので、筋トレ前に血中アミノ酸濃度を高めておき、筋分解を少しでも抑制するのは理にかなっている気がします。
逆に1時間以内でトレーニングを終えるような場合は、運動前のプロテインは必要ないでしょう。
トレーニング前のプロテイン摂取
トレーニング前のプロテイン効果についてはまだはっきりとわかっていない
- トレーニング時間が1時間以内:必要無し
- トレーニングが1時間半を超える:飲んだ方が筋分解を抑制できる
プロテインの種類による筋合成の差
次にプロテインの種類による筋合成の違いを見ていきましょう。
プロテインは大きく「ホエイ」「カゼイン」「ソイ」の3種類に分けることができます。
このほかにも卵からできている「エッグプロテイン」やホエイとカゼインの混合体である「ミルクプロテイン」がありますが、日本ではあまり主流ではないので、ここでは上記の3つに対して説明します。
吸収速度の違い
まずは吸収速度についてみていきましょう。次のグラフは縦軸が血中アミノ酸濃度で、横軸が時間です。
ホエイが真っ先に吸収分解されて、次にソイ、最後にカゼインと吸収されていることが分かります。
ブレンドと書かれているのはホエイとカゼインを混ぜたもので、ミルクプロテインに近いものです。
プロテインの吸収速度の違い
- ホエイプロテイン:1~2時間
- カゼインプロテイン:6~8時間
- ソイプロテイン:5~6時間
筋合成の違い
続いて筋合成速度を見ていきましょう。
異なる3つのプロテインを摂取した場合の筋合成速度とロイシン濃度を調べた結果が次のグラフになります。
(Breen&Phillips.,2012より筆者加筆)
このグラフは細胞内のロイシン濃度と筋合成速度が一致することを示しています。つまり必須アミノ酸を全て含んだプロテインの筋合成速度の違いはロイシンの吸収速度によるものだということです。
そして「ロイシントリガー」と呼ぶ、ある一定のロイシン濃度に到達しないと爆発的な筋合成は開始されないとする仮説があります。
上のグラフの赤線がロイシントリガーを表していますが、ホエイとソイはこの線を越えているため、筋合成が多く行われていますが、カゼインはこの線を越えていないので、緩やかな筋合成速度になっています。
BCAA、ロイシン比率の違い
ここで各プロテインのBCAA比率とロイシン比率を見ていきましょう。
プロテインの種類 | BCAA比率 | ロイシン比率 |
ホエイプロテイン | 26% | 14% |
カゼインプロテイン | 23% | 10% |
ソイプロテイン | 18% | 9% |
エッグプロテイン | 20% | 8% |
ロイシン濃度があまり上がらなかったカゼインですが、ソイと同等のロイシン比率であることが分かります。
このことから、カゼインは含まれているロイシンの量は十分あるが、吸収速度が非常に緩やかなため、細胞内のロイシン濃度を急上昇させることができず、結果として低い筋合成速度になってしまったと考えられます。
筋肥大にはホエイがもっとも適している
この点ホエイプロテインはロイシン比率も群を抜いて高く、吸収速度も最も速いので、筋肥大にはもっとも適したプロテインであると考えられます。
ホエイプロテインにも大きく分けて2種類あり、純度によってWPCとWPIに分けられます。
WPC(ホエイプロテインコンセントレート)が一番身近なプロテインで安価な分、不純物が含まれており、吸収速度・ロイシン比率ともにWPIに劣ります。
WPI(ホエイプロテインアイソレート)はWPCに比べて1.5倍以上価格がします。WPCの製造工程に加えて、高性能フィルターで不純物を取り除く工程が追加されているため、不純物がきわめて少なく、純度の高いプロテインです。
そのため吸収速度が速くロイシン比率が高いので、筋肥大に適しています。
趣味で筋トレをしている分にはWPCで十分ですが、安く売られているWPIもあるので、色々試してみるのが良いでしょう。
下記に私のおすすめプロテインをのせておきます。クリックするとレビュー記事にいくので参考にして下さい。
おすすめプロテイン
- ハイスペックWPI:ゴールドジムCFMホエイ
- ローコストWPI:CGNホエイプロテインアイソレート
- ハイスペックWPC:ONゴールドスタンダードホエイ
- ローコストWPC:ボディウィングホエイ
- とにかく美味しいWPC:ザバスアクアホエイ
私が現在使用しているのは1kg2000円で購入できるボディウィングです。人工甘味料フリーで安心して飲めるプロテインです。
ホエイプロテインを飲む頻度
筋トレの効果を最大限高めるにはプロテインの種類は「ホエイ」一択だということが分かりました。
では最後にホエイプロテインを飲む頻度について解説します。
今回紹介する研究では、プロテインの飲む頻度と摂取量について3条件で調べており、合計のプロテイン摂取量は変えずに一気に飲む群と細かく飲む群に分けています。
- 6時間おきに40gのプロテインを飲む群(Bolus)
- 3時間おきに20gのプロテインを飲む群(Intermediate)
- 1.5時間おきに10gのプロテインを飲む群(Pulse)
結果が次のグラフになります。
「3時間おきに20gのプロテインを飲む群」が、もっとも筋合成速度が大きいことが分かります。
先ほどお話しした「最適摂取量=20g」とも結果が一致しています。
合計のタンパク摂取量は同じにも関わらず、これだけ違いが出ているのは一体どういうことなんでしょうか。
「6時間おきに40g群」では、筋合成を最大化するのに必要な20gを大きく超えた摂取量だったため、余分な20gはエネルギー源として使用されてしまったからだと考えられます。
「1.5時間おきに10g群」は一回あたりのプロテイン摂取量が少ないため、血中のロイシン濃度を高めることができず、筋合成を最大化できなかったことが要因だと考えられます。
ここで再びプロテインの吸収速度を見ていきましょう。みて頂きたいのはホエイ(●)です。
ホエイは摂取からわずか45分で血中アミノ酸濃度がピークに達します。そしてその後すぐにアミノ酸濃度が下がり、3時間後には平常時と同じレベルまで下がっています。
このことからホエイプロテインを3時間おきに飲むというのは、かなり理想的な摂取頻度だと言えます。
筋合成データと吸収速度の両面から、ホエイプロテインの摂取頻度は3時間おきがベストでしょう。
ただホエイプロテインに加えて通常の食事を4~6時間おきに食べると思うので、「プロテイン→朝食→プロテイン→昼食→プロテイン→夕食→プロテイン」と交互にタンパク質を摂取していくと良いでしょう。
ホエイプロテインを飲む最適頻度
- ホエイは吸収が速く3~4時間後には体内からなくなるため、3時間おきに飲むのが適している
- 食事をはさむ場合はプロテイン摂取を一回スキップする
プロテインの飲み方/選び方まとめ
プロテインの正しい飲み方についてエビデンスを紹介しながら説明してきました。
今回説明した内容をまとめると次のようになります。
プロテインの正しい飲み方
- 種類:ホエイが筋肥大にもっとも効果的
- 期間:筋トレ後48時間
- 摂取量:1回あたり「0.25g×体重(kg)」
- 頻度:3時間おき(食事を挟む場合は一回スキップ)
おすすめプロテイン
- ハイスペックWPI:ゴールドジムCFMホエイ
- ローコストWPI:CGNホエイプロテインアイソレート
- ハイスペックWPC:ONゴールドスタンダードホエイ
- ローコストWPC:ボディウィングホエイ
- とにかく美味しいWPC:ザバスアクアホエイ
(Amazonに直接飛びます。レビューを見たい方は少しページを戻して下さい。)
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